政府AI、来年1月他省庁へ試験提供 デジタル庁ブリーフィング
デジタル庁は11月12日、13日の2日間で、主要政策に関する報道関係者向けのブリーフィングを開催した。
「デジタル庁の組織」、「マイナンバーカード」、「マイナポータル」、「マイナ保険証」、「自治体システム標準化、「ガバメントクラウド」、「ガバメントAI」のテーマごとに現在の取組や背景、今後の展望についてデジタル庁から説明を行い、参加者からの質疑に応じた。
「自治体システム標準化」は、地方公共団体の人的・財政的負担を軽減し、地域の実情に即した住民サービスの向上に注力できるようにするとともに、新たなサービスの迅速な展開を可能にする環境の整備を目的とした取組で、全国の自治体が個別に構築していた20業務のシステムを、政府の定める標準仕様書に基づいたシステムに順次移行している。2025年度末までを期限としていたが、移行が間に合わないシステムが1割ほど残っており、地方公共団体ごとの実情に鑑みながら、最大で2030年度までに完了することを目指す。
移行にともない、推進体制の構造的な要因と外部要因とによる運用経費の増大が課題となっている。見積精査の支援や、デジタル庁が取りまとめる大口割引交渉といった当面の対策とともに、運用管理の省力化、自動化、運用経費の可視化と分析による競争促進等、「モダン化」を進めて構造的な改善を図る。
デジタル庁 戦略・組織グループ 山口真吾参事官(AI実装戦略総括)
「ガバメントクラウド」は、政府情報システムについて、クラウドサービスの利点を最大限に活用し、迅速かつ安全なシステムを構築するための取組。デジタル庁が共通基盤・機能を提供する複数のクラウドサービスの利用環境であるガバメントクラウドを整備している。地方公共団体においても、基幹業務等のアプリケーションをガバメントクラウド上に構築し、地方公共団体がそれらの中から最適なアプリケーションを選択することが可能となるような環境整備を目指す。ガバメントクラウドに移行することで、事務の効率化、セキュリティレベルの高度化、大規模災害対策の実現等を狙う。
デジタル庁提供
「ガバメントAI」のセッションでは、AI基本法に基づき、AI社会実装のスピーディな実現に向けて、デジタル庁が音頭をとり、国会答弁作成や許認可審査支援などにおいて政府が率先してAIの利活用を進める方針と、現在の取組について説明した。デジタル庁職員向けに生成AI利用環境「源内」を提供、約8割の職員が、延べ6万回以上使用した。パブリックコメントの分類や、SNSを使った闇バイト募集の摘発など、他省庁への技術支援も実施している。来年1月から他省庁への試験提供を開始し、令和9年度以降の本格導入を目指す。