TOPPANと慶應大 量子コンピュータとAIで漫画・アニメ画像生成を実証

TOPPANホールディングスは2026年10月16日、慶應義塾大学と共同で、量子コンピュータと生成AIを組み合わせて漫画・アニメーション画像を生成する実証実験を2026年2月1日から7月31日まで実施し、実用に耐えうる256×256ピクセルの画像生成に成功したと発表した。

実証実験の概要

画像生成AIで主流の拡散モデルは、ノイズを少しずつ取り除く処理を何度も繰り返すため計算工程が多く、生成に時間がかかるという課題がある。今回の実証では、より少ないステップで画像を生成できる「フローマッチング」の手法を慶應義塾大学が量子回路に実装。量子コンピュータで髪型や表情を指定したキャラクターのコア画像を生成し、TOPPANがAIで背景生成、着色、高解像度化を補完するハイブリッド型のモデルを構築した。

シミュレーションによる基礎検証では、量子回路の演算回数を従来設計の約6分の1に削減しつつ、指定した数字が正しく生成された割合が16%から78%に向上した。1万件の学習データを用いた比較では、生成画像の識別精度が従来のAIモデルの54.3%に対し、量子モデルは78.3%となり、少ない学習データでも高い性能を維持できる可能性が示されたという。

量子コンピュータ実機(10qubit)での検証では、16×16ピクセルのグレースケール画像を16通りの条件に応じて生成できることを確認した。これをAIで補完し、256×256ピクセルのカラー画像として出力した。一方、従来のAIモデルに対する精度や生成時間の優位性は、今後の検証課題としている。

今回の研究の成果は、NEDOの「懸賞金活用型プログラム/量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発」でCool Japan部門の3位を受賞した。同プログラムのSeason2にも採択され、2026年10月からは解像度の向上や自然言語による条件指定を目指す研究に着手する。将来的には3D・4Dを含む多様なコンテンツ制作などへ応用を広げ、クリエイターの制作支援や持続可能なコンテンツ産業の発展に貢献する用途開発を目指す。