IPCC 報告書を公表、21世紀中に温暖化が1.5度を超える可能性高い
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、第56回総会と同パネル第3作業部会(WG3)第14回会合を2022年3月21日~4月4日にかけてオンライン開催した。今回の会合で、IPCC第6次評価報告書(AR6)WG3報告書(AR6/WG3報告書)の政策決定者向け要約(SPM)が承認され、公表された。
SPMでは、2014年に発表された第5次評価報告書以降の各国の法的・政策的取組により、温室効果ガス(GHG)排出削減のための技術やインフラへの投資が進んだこと、GHG低排出技術の単価が下落し、世界的な普及を支えている、と分析している。
ただし、2021年11月の第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)より前に発表された、各国が決定する貢献(NDCs)の実施に関連する2030年の世界全体のGHG排出量では、21世紀中に温暖化が1.5℃を超える可能性が高い見込みであるともした。温暖化を2℃より低く抑える可能性を高くするためには、2030年以降により強力なGHG排出抑制などの努力が必要になる。なお、2020年末までに実施されるものを超える政策の強化がなければ、GHG排出量は2025年以降も増加し、2100年までに中央値で3.2 [2.2~3.5]℃の地球温暖化をもたらすと予測している。
国連事務総長のアントニオ・グテーレス氏は4日、報告書の発表に寄せて「私たちは、気候関連災害への最短コースにいます。私たちは、パリで合意された1.5℃の上限の2倍を超える地球温暖化への道を進んでいます」と、危機的状況を訴えた。そして、企業や各国政府、すべての人々に再生可能エネルギーへの導入を促すメッセージを発信している。