マイクロ波化学 マイクロ波で15キログラムの鉄鉱石の還元に成功
マイクロ波化学(大阪府吹田市、月刊事業構想2018年7月号参照)は、マイクロ波を利用した金属製錬・鉱山プロセス標準ベンチ装置を用いた実証試験において、鉄鉱石の還元に成功したと発表した。約15キログラムの鉄鉱石を還元して、功績に含まれる酸化鉄を鉄と酸素に分離でき、実用化に向けて重要なマイルストーンであるベンチスケールでの実証を完了した。今後、技術の確立を加速するとともに、事業化に向けたパートナー企業の探索を進める。2026年5月26日に発表した。
左が還元前の鉄鉱石、右が還元後の鉄鉱石
同社は2023年12月に、鉱山プロセス開発に向けたマイクロ波技術プラットフォーム「Green Mining-MX」を用い、ラボスケールでの鉄鉱石還元に成功したと発表していた。今回、同社が保有する回転炉床炉型の金属製錬・鉱山プロセス標準ベンチ装置を用いたスケールアップに成功した。今後は、プロセス条件の最適化、エネルギー効率・二酸化炭素削減効果の定量化、連続運転の検証など、実用化に必要な検討を進める。事業展開に向けては、製鉄会社、資源会社、エンジニアリング企業など、幅広い企業とのパートナーシップ構築を目指す。
鉄鋼業界が排出する温室効果ガスは二酸化炭素換算で世界全体の約7~8%に及び(2024年、世界鉄鋼協会)、日本国内でも鉄鋼業からの二酸化炭素排出量は産業部門の約39%、国全体の約13%を占める(2023年度、経済産業省)。現在主流の高炉法では、製鉄プロセスの一部である石炭(コークス)による還元過程で二酸化炭素の排出が避けられない。業界のカーボンニュートラル実現には、製鉄プロセスの抜本的転換が求められている。
マイクロ波は対象物を直接加熱でき、また鉄鉱石はマイクロ波を吸収しやすい特性を持つため、マイクロ波による鉄鉱石還元技術には消費エネルギーや二酸化炭素排出量の削減が期待できる。鉄鋼会社などで研究が進められている水素やバイオマスを還元剤に用いた製鉄プロセスにも適用可能で、業界のカーボンニュートラル実現に有効と考えられる。一方でこの技術はこれまで、スケールアップが課題となっていた。そこでマイクロ波化学では、同プロセスのスケールアップに関するノウハウを駆使して実用化に取り組んでいる。