「防災庁」 今秋発足に向け設置法・関連法案を閣議決定
政府は2026年3月6日、災害対応の司令塔となる「防災庁」の設置法案と関連法律の整備法案を閣議決定した。現在の内閣府防災部門を改組・拡充し、事前防災から復旧・復興までを一貫して担う新組織として、2026年秋の発足を目指す。法案では、防災庁を内閣直属の組織と位置づけ、長を内閣総理大臣とする。組織の実質的な統括を担う専任の「防災大臣」(国務大臣)を新たに置き、副大臣・大臣政務官各1名に加え、事務次官1名を配置する。
内閣官房公式ホームページより
防災大臣には、関係行政機関の長に対する資料の提出請求権、勧告権および報告徴求権が付与される。各府省庁には当該勧告を尊重する義務が課され、縦割を排した統一的な防災施策の推進が図られる。職員の定員は、前身となる内閣府防災担当(220人)の1.6倍の352人となる予定。2026年度予算案における防災庁関連経費は202億円を計上しており、内閣府防災担当の2025年度当初予算(146億円)から約38%の増額にあたる。
防災庁の所掌事務は大きく2つに分かれる。第一に、防災施策に関する基本方針・計画や大規模災害発生時の対処に関する企画立案・総合調整など、内閣補助事務としての機能を担う。第二に、中央防災会議の運営、被災者の応急救助・生活再建支援、激甚災害の指定、南海トラフ地震・日本海溝・千島海溝地震・首都直下地震への対策など、自ら実施する分担管理事務を遂行する。
災害対策基本法もあわせて改正され、科学的なリスク評価に基づく事前防災や、被災者の良好な生活環境の確保が災害対策の基本理念に追加される。また、災害からの復旧・復興を推進する本部の設置規定も新設される。
法案には、地方機関として「防災局」の設置が明記された。政府は南海トラフ地震と日本海溝・千島海溝地震の被災想定地域にそれぞれ1カ所、計2カ所の設置を検討しており、2027年度以降の設置が見込まれる。防災局は、事前の備えや災害発生時の被災地支援体制づくりなどを担い、自治体との連携を強化する拠点となる。また、防災に関する専門知識を持つ人材育成のため、文教研修施設として「防災大学校(仮称)」を設置できる規定も盛り込まれた。
防災庁の主要事業として、新たに「防災力強化総合交付金」が設けられ、2026年度は35億円を計上している。自治体が地震のシミュレーションを実施し、救助・避難・医療体制の課題を数値で把握した上で、その結果に基づき防災計画等を見直す取り組みを財政面から支援する。政府は2026年の通常国会での法案成立を経て、今秋の防災庁発足を目指す方針だ。