英最高裁、石油開発許可に違法判決 「アセス時に化石燃料の間接影響も含めるべき」
(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年6月26日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
イギリスの最高裁は2024年6月、サリー州議会が同州の田園地帯にあるホース・ヒルでの油田掘削拡大に関する開発許可を出したことについて、現在・将来の気候変動への悪影響を考慮していなかった点が違法であるとの判決を出した。
この判決が重要なのは、イギリスの石油・ガス産業の状況を一変させる可能性があるという点だ。
イギリスでは2017年に更新された規則によって、地方の計画当局(主に州議会)が主要な石油・ガス開発プロジェクトに許可を与える前に環境アセスメントを実施することが義務付けられている。このプロセスは土地利用計画の決定を行う際に、提案されたプロジェクトの直接・間接的な環境影響を測定するために設けられている。
最高裁判所は今回、化石燃料を地中から取り出すことによる間接的な影響、すなわち燃料として燃焼された際に発生する温室効果ガス排出も、開発許可が与えられる前に環境影響評価に含めるべきであると明示した。
サリー・ヒルズ特別自然美観地域の4つの新しい油井からの石油採掘を目指している開発事業者、UKオイル・アンド・ガス社(Horse Hill Development Ltd.に出資)は、イギリス国内の複数の石油プロジェクトに多大な利害を持っている。同社は今回の裁判所の決定に対し「不可解」だと表現した。
一方で、この石油開発プロジェクトに対する抗議活動を主導した活動家サラ・フィンチ氏は、これは「驚異的な勝利」であり、「イギリスにおける石油とガスの未来を変える可能性がある」と述べた。
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