NEDO、鉄鋼各社 製鉄プロセスでの水素活用に着手、総予算1935億円

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、鉄鋼業の脱炭素化へ向け「製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト」に着手すると2022年1月7日に発表した。グリーンイノベーション基金事業の一環で、予算総額は1935億円。

社会で幅広く使われる金属である鉄の製造プロセスで、二酸化炭素排出を抑制できれば、脱炭素社会の実現に向けた大きな一歩となる。今回のプロジェクトでは、製鉄プロセス全体から化石燃料の使用量を削減し、二酸化炭素排出量を2030年までに50%以上削減可能にする技術の開発を目指す。

公募で採択された研究開発テーマは4つ。提案者は、日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所の鉄鋼各社と一般財団法人金属系材料研究開発センターだ。

まず、1つ目の研究開発項目である「高炉を用いた水素還元技術の開発」では、(1)所内水素を活用した水素還元技術等の開発と(2)外部水素や高炉排ガスに含まれるCO2を活用した低炭素化技術等の開発、が採択された。特に(1)では、これまでNEDOが「環境調和型プロセス技術の開発/水素還元等プロセス技術の開発」において試験してきた成果を踏まえ、実高炉を見据えたスケールアップによる反応条件の変化やCO2削減効果を検証、国内の製鉄所に導入するための技術開発を行う。

2つ目の研究開発項目「水素だけで低品位の鉄鉱石を還元する直接水素還元技術の開発」では、直接還元炉で低品位鉄鉱石を活用できる水素還元技術などの研究開発を進める計画だ。(1)直接水素還元技術の開発と、(2)直接還元鉄を活用した電炉の不純物除去技術開発、が採択された。