加工食品に比べ急騰する農産物価格が、NZ国民の健康的な食生活を危うくする

(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年7月16日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

過去10年間にわたり、食品価格の上昇が世間の注目を集めてきた。しかし、すべての食品カテゴリーで一貫して価格が上昇しているわけではない。この価格上昇は、ニュージーランド人の健康に大きな影響を及ぼす。

先週、ニュージーランド統計局(Stats NZ)が発表した食料品価格のデータでは、過去6年間で最大の下落が確認された。7月16日発表予定の、2024年第2四半期の消費者物価指数は、ニュージーランド人が直面しているインフレ圧力(食費を含む)の全体像を示すことになるだろう。

最近の価格下落にもかかわらず、食料安全保障、食品の値頃感、そして地方での食生活における栄養価に対する懸念は、依然として残っている。

長期的に見て、食品価格の上昇は顕著だが、相対的な物価、つまり、ある食品カテゴリーと他のカテゴリーとのコスト比較は、しばしば見過ごされがちである。しかし、こうした相対価格の変化は、消費者の選択に大きな影響を与え、しばしば無意識のうちにその行動を左右するため、きわめて重要だ

我々の新しい研究では、2014年から2023年にかけて、ニュージーランド統計局が12の都市地域における560の小売店(スーパーマーケット、八百屋、魚屋、肉屋、コンビニエンスストア、レストラン、そして朝食、昼食、テイクアウト食品を販売する店舗)から収集した85にのぼる食品小売価格のデータを分析した。

それによると、2014年7月から2023年3月の間に、箱入りチョコレート、アイスクリーム、炭酸飲料、スポーツエナジードリンクなどの甘味料を使った加工食品や飲料の価格は約14%上昇した。一方で、果物や野菜の価格は約45%も上昇している。

甘味料を使った加工食品が果物や野菜よりも相対的に安い場合、人々は前者をより多く購入する傾向がある。これにより、肥満や関連する健康問題の発生率が高まる可能性がある。

2014年以降、生鮮食品や農産物の価格は平均で45%上昇しているのに対して、加工食品の価格はわずか14%の上昇にとどまっている。
2014年以降、生鮮食品や農産物の価格は平均で45%上昇しているのに対して、加工食品の価格はわずか14%の上昇にとどまっている。

ユニークな要因が価格の下落を遅らせる

2020年以降、食品価格は世界的に上昇しているが、これは特に新型コロナウイルス感染症や地政学的緊張によるものである。多くの国々ではその後、食品価格のインフレが緩和されているが、ニュージーランドでも最近の統計データが示すように、この緩和が始まっている。

しかし、ニュージーランドの価格インフレは他の多くの先進国よりも大きく、かつ持続的である。これには特有の要因が作用している可能性がある。

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