衛星間光通信のワープスペース 全日空商事など5社から資金調達

宇宙における光通信の産業化を目指す筑波大学発スタートアップのワープスペース(茨城県つくば市、月刊事業構想2022年3月号参照)は、シリーズCラウンドで第三者割当増資による資金調達を実施した。2026年1月20日に発表した。

リード投資家はスパークス・アセット・マネジメントが運営する「宇宙フロンティア2号ファンド」。既存投資家の湖北工業に加え、新規投資家として全日空商事、トヨタ・インベンション・パートナーズ、MIC6号投資事業有限責任組合(GP:モバイル・インターネットキャピタル)が引受先として参画した。調達した資金は開発中の2つの製品の商用化および事業体制の強化に充てる。

開発中の製品の1つは、マルチプロトコル光モデム「HOCSAI(ホクサイ)」だ。多様なレーザー光通信端末の規格に対応し、異なる通信端末同士でも調整なく衛星間や衛星・地上間での相互通信ができる製品で、2026年からの販売を予定している。

もう1つは、デジタルツインシステム「DTS」。仮想空間上で衛星の挙動やシステム間の連携、データの流れを再現し、レーザー光通信システム搭載の検討から運用計画の策定・検証までを可能にする。同社はこれらの製品を「光通信導入の鍵」と位置づけ、宇宙通信の新たなスタンダード確立を目指している。

今回の資金調達で新規に参画した事業会社とワープスペースは、事業シナジーを見据えた連携を進める。ANAグループの全日空商事は、航空産業のグローバルネットワークと商社機能を活かし、HOCSAIとDTSのサプライチェーンマネジメント強化と海外展開を支援する。トヨタの戦略投資子会社であるトヨタ・インベンション・パートナーズとは、宇宙通信インフラ領域における長期的パートナーシップを構築し、光衛星通信ネットワークと地上のモビリティやIoTインフラとの連携など、新たなソリューション共創を模索する方針だ。

近年、地球観測衛星を群として運用するコンステレーション構築が進み、人工衛星数は爆発的に増加している。従来の電波通信(RF)では通信需要を満たすことが困難になったことから、課題を解決する手段として、レーザー光による通信技術が注目を集めている。