日立 生体認証による店頭支払いなどの統合サービスを開始

日立製作所は、2020年10月30日から、生体認証によるキャッシュレス決済や本人確認が可能なクラウドサービス「生体認証統合基盤サービス」を開始する。指静脈や顔、虹彩などの生体情報を、決済、入退館、本人確認など多様な用途で安全に使えるようにするサービスだ。

日立では指静脈認証を2006年にリリースし、これを発展させた技術が2016年には銀行ATMに採用されている。2019年12月から2020年3月にかけて、ユーシーカードと共同で、指静脈認証を使ったキャッシュレス決済の実証実験も実施した。

今回開始するサービスは、これらの知見を活かしたものだ。生体情報とクレジットカードを紐づけてユーザー登録すれば、手ぶらで本人認証と決済をシームレスに行える。生体情報はクラウド上で一元管理し、一度登録すれば様々な場面・事業者のサービスでの利用が可能になる。生体情報をクラウドで管理する際には、日立独自の認証技術「PBI」により、元の形に戻せない形式に変換してクラウドで管理し、情報漏洩によるなりすましを防止している。

サービスのコアとなる本人認証と決済連携を、APIを介して外部事業者のサービスと組み合わせることで、利用の幅を広げる計画だ。日立製作所金融ビジネスユニット金融イノベーション本部担当部長の池田憲人氏は「生体認証の市場規模は今後5年で7兆円程度に成長すると予測されている。日立では今後5年間の累計で100億円以上の売り上げを目指す」と話した。

2020年度はサービスを様々な場所で試験導入する予定で、12月には同社横浜事業所の食堂やカフェなどで、指静脈情報によるキャッシュレス決済を導入する。顔や虹彩といった他の生体情報による認証や、ネット通販での利用などは次年度以降に本格的に開始するという。

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