三井物産、日本IBM、フィノバレー 健康ポイント始動

三井物産と日本アイ・ビー・エム、フィノバレーは、2019年2月8日、新しい健康ポイントシステム「ウェルネス貯金」に関する説明会を開催した。食品などのメーカーと消費者を直接つなぐプラットフォームを、パブリック・ブロックチェーンを用いて構築する。2019年2月15日から、広島市において実証事件を開始予定だ。

ウェルネス貯金は、消費者の健康を増進することを目的に構築したプラットフォーム。からだに良いとされる食品や製品に、メーカー側がQRコードを添付し、消費者はそれをスマホアプリで読み込むことで、企業から「エール」を受け取る。このエールは、やはり健康増進に役立つ施設、例えばリラクゼーション店やスポーツクラブ、薬局などで使用可能だ。エールを提供する企業を「ウェルネス応援隊」、エールが使える場所は「ウェルネスステーション」と名付けた。

QRコードの貼付対象は健康食品や特定機能食品だけでなく、海苔や納豆、ハーブティー、酢など、一般的に体によいとされる幅広い製品だ。広島市における実証実験には、ウェルネス応援隊にアサヒ飲料、東洋水産など17社が、ウェルネスステーションには調剤薬局チェーンを展開するクオールや、東急スポーツオアシスなど28カ所の参加が決まっている。

ウェルネス貯金の運営を担当する、三井物産の100%子会社グルーヴァースの社長に就任した福島大地氏によると、「ウェルネス貯金の仕組みは、学校の教育環境を整えるために始まった『ベルマーク運動』がアイディア源」だ。広島市での実証実験後、2019年内に他の都市圏への拡大を予定しており、3年間で1500万ユーザーの獲得を目指す。QRコード貼付対象の製品も、ベルマーク並みの2000程度を目指す考えだ。

将来的には、エールをユーザー間でやり取りしたり、自治体の健康ポイント・プラットフォームとして活用することも視野に入れる。ウェルネス応援隊として参加する企業のメリットとして、エールを取得した消費者と直接コミュニケーションする機会を得られることが挙げられる。食材の使い方など、商品の活用法を直接アピールしたり、ロイヤルカスタマーのプロフィールを把握して、それに合わせた商品開発を実施するなどの展開も考えられるという。

ウェルネス貯金のシステム開発は、ブロックチェーンは日本IBMが、スマホアプリはフィノバレーが担当した。日本IBMインダストリー・ソリューションズ事業開発 ブロックチェーン・ソリューションズ事業部長の高田充康氏は、「ウェルネス貯金は社会的な重要なシステムなので、ブロックチェーンが最適だと思った。ブロックチェーンをロイヤルティポイントに応用するのは世界でも最先端の取組だ」と話した。さるぼぼコイン(月刊事業構想2018年3月号参照)やアクアコインなどの電子地域通貨システムを構築してきたフィノバレープロダクト開発グループ長の渡邉大翼氏は、「電子地域通貨で培った知見を利用し、アプリをより多くの人に使われるように設計した。将来は、一連動型のプッシュ通知を使って、健康イベント情報を周辺の人に通知したり、ターゲットを絞った商品情報の提供なども実施したい」と話した。

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