地方大学の産学連携は 首長のリーダーシップで

首相官邸のまち・ひと・しごと創生本部・地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議は、2017年11月21日、最終報告書の素案をまとめた。12月にも、正式な最終報告書と取りまとめる。

 

「地方における若者の修学・就業の促進に向けて -地方創生に資する大学改革-」(素案)というタイトルで、東京への大学一極集中を止めるとともに、地方大学の没落を抑制しようとしている。今回の提案において、東京の大学と地方の大学の役割分担は、東京が「国際化」、地方が「特色」となる。東京では、高度な専門人材教育と研究拠点となり、優秀な外国人研究者と留学生を集積させ、頭脳循環の中核となる教育・研究拠点を形成する。

 

一方、地方の大学については、特色を際立たせた大学経営を求めている。多様な人材を育成し、地域の生産性を高めるために、国公私の設置者を越えた機能分担を進める、としている。学長がリーダーシップを発揮して、地方のニーズに応じた学部・学科の再編・充実に取り組むと共に、地方大学の機能強化に向けた組織改革を実施することを求めた。

 

また、地方における大学の役割、位置づけについても変化を求めている。例えば、首長のリーダーシップの下、地方公共団体が中心となり、地域の産業界や地方大学と連携をしながら、地域産業や人材育成のビジョンを示すことを提案している。この中で、地域の中での地方大学の役割を明確にし、その地域の産業構造・就業動向を踏まえた産官学連携を推進していくべき、としている。

 

首長が産官学連携のコンソーシアムを構築し、地域の中核的な産業の振興や、専門人材育成などの振興計画を策定した場合、地方創生の優れた事業として国が認定すれば、新たな交付金を支給される。認定に当たっては、地方版総合戦略に位置づけられることが必要になるが、事業内容などを検討し、「地域が一丸となって本気で改革に取り組む優れた事業」のみに交付金が支給されるように限定すべき、と今回の素案では提案している。

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