JCCL・九州大学　西部ガス工場からCO₂を回収 クリーンメタンガス合成設備へ安定供給

JCCL（福岡市西区、以下「JCCL」）は、国立大学法人九州大学（福岡市西区、以下「九州大学」）と共同で開発したCO₂回収装置（VPSA2）が、西部ガス株式会社（福岡市博多区、以下「西部ガス」）の都市ガス製造工場の都市ガスボイラ排ガスからCO₂を回収し、99%まで濃縮した上で、西部ガスのメタネーション設備（以下「本設備」）にCO₂を安定的に供給する実証を完了した。

JCCL、九州大学および西部ガスは、2022年より組織対応型連携研究「都市ガス燃焼後排ガス中のCO₂利用に関する共同検討」を開始し、2023年11月から環境省の「地域原料活用によるコスト低減を目指したメタネーション地産地消モデルの実証」（以下「本実証事業」）に参画している。 

JCCLのVPSA2は、調湿されたCO₂含有ガスを固体吸収剤に供給してCO₂を吸収させ、相対湿度が自動制御された減圧蒸気を定量供給することで1日30kg程度のCO₂を97%以上に濃縮・回収できる装置。またメタネーションは、水素（H₂）と二酸化炭素（CO₂）から都市ガス原料の主成分であるメタン（CH₄）を合成する技術をいう。これら装置と技術を用いることで、都市ガス製造工場の都市ガスボイラ排ガスから回収したCO₂を原料として、メタンガス（都市ガスの主原料）が合成される。

合成されるメタンガスは、カーボンニュートラルな都市ガス『e-methane(以下、e-メタン)』としてクリーンガス証書を取得した。『e-メタン』は、グリーン水素等の非化石エネルギー源を原料として製造された合成メタンの呼称。燃焼時に二酸化炭素を排出するが、原料に排気ガス等から回収した二酸化炭素を使用するため、大気中のCO₂量は実質的に増加しない。 本証書の発行は、CO₂回収装置（VPSA2）により燃焼後排ガスから回収されたCO₂を原料として製造された『e-メタン』が、環境価値を有する「クリーンな都市ガス」として社会的に認証されたことを示す。

CO₂回収技術は、メタネーションなどのカーボンリサイクル技術の基盤として今後のさらなる展開が期待されている。JCCLは、引き続き九州大学と共にCO₂分離・回収技術の高度化、スケールアップおよび社会実装を推進する。そして、西部ガスを含めた３者は、脱炭素社会の実現と地域循環型エネルギーシステムの構築に貢献していく。