AI活用状況がキャリアの評価軸に 3人に1人が「勤務先のAI活用の遅れは転職理由になり得る」と回答
株式会社チェンジホールディングスの子会社であり、人材育成やDXコンサルティング事業を展開する株式会社チェンジは、企業のAI活用が働き手のキャリア判断に与える影響を明らかにするため、全国の会社員および役員1,088名を対象にした「AI活用とキャリア意識に関する調査」を実施した。
調査結果によると、勤務先でのAI活用の遅れは転職理由になり得ると回答した割合は35.1%を記録し、転職理由にはならないと回答した33.8%をわずかに上回る結果となった。企業のAI活用に対する評価が拮抗する中、一部の働き手にとってはすでに転職の意思決定に関わる条件として意識され始めている状況がうかがえる。
年収や役職で異なるAI活用への意識
調査結果を年収別に見ると、転職理由になり得ると回答した割合は年収300万円未満で28.3%にとどまった一方、年収500〜699万円では43.8%、年収700〜899万円では47.5%、年収900万円以上では46.1%にのぼり、年収帯によって意識の差が見られた。
株式会社チェンジホールディングス公式プレスリリースより
役職別の分析では、一般社員における同様の回答が29.0%であるのに対し、課長は56.5%、部長は63.6%を占め、現場管理職層において勤務先のAI活用状況を重視する姿勢が明確になっている。
一方、役員層においては転職理由になり得ると答えた割合が34.5%、どちらとも言えないが27.6%、転職理由になり得ないが37.9%となり、肯定、中立、否定の評価が拮抗する結果となった。
業種による影響の差異と『評価軸が立ち上がる過渡期』の背景
業種別では、AIが業務に組み込まれやすい環境にあるIT・通信で48.3%、商社・卸で40.4%が転職理由になり得ると回答した。これに対し、物流・運輸は26.9%、官公庁・自治体・公共関連は25.7%となり、3割を下回る業界も確認されている。
株式会社チェンジの代表取締役社長である野田知寛は、今回の調査結果を踏まえ、企業のAI活用は現在「評価軸が立ち上がる過渡期」にあると考察している。諸外国では生成AIのトークン割当量が人材募集条件に盛り込まれ始めている現状に触れ、国内においても企業におけるAI活用状況が採用競争力に直結する時代が近づいていると指摘した。
同社がこれまで23年間で累計150万人を超える社会人の育成や業務変革の現場に向き合ってきた経験から、新しい技術が評価軸として定着する過程では、自分の業務や成果との結びつきが見えたタイミングで意思決定に影響を与え始めるケースが多いと言及している。今後、企業の取り組み方次第で働き手の評価や意思決定のあり方がさらに変化していく可能性を示唆した。
調査名はAI活用とキャリア意識に関する調査で、調査方法はインターネット調査。調査期間は2026年3月23日〜3月30日。調査対象は20代〜50代の全国の会社員・役員で、年齢、性別の構成比に偏りがないようサンプル割付を実施し、AIに関する設問の前に確認質問を設けているため、設問により有効回答数は異なる。有効回答数は1,088名。