「日本の草木を食卓へ」 山伏、理念を体現するカクテルバー開業

里山に眠る植物の「食の可能性」を探る研究ブランド「日本草木研究所」を運営する株式会社山伏が、その理念を体現する場として、里山の草木を使った創作カクテルを提供するバー「SATOYAMA SPIRITS TOKYO(サトヤマ スピリッツ トーキョー)」を、2026年8月5日に東京・恵比寿に開業する。

同社は、海外のスパイスやハーブが日常的に食卓へ上るように、日本各地の樹木や知られざる花々もまた食の一部となる世界を目指してきた。そのために全国の里山を訪ね歩いて未知の植物の可能性を研究し、独自商品の開発やレストランへの食材卸を続けている。今回のバーは、こうした活動の成果を消費者が香りと味として直接体験できる場と位置づけられる。

店では、茶葉や琉球シナモンの葉、金木犀、青文字、アカエゾマツの新芽といった里山素材を用いる。「この国の香りを、カクテルに。」をコンセプトに掲げ、素材ごとに香りの引き出し方を変えるのが特徴で、囲炉裏で加熱して香りを移す「燻し、煎じる」、花をそのまま用いる「そのまま活かす」、蒸留や浸漬でエッセンスを取り出す「閉じ込める」の三つの手法を使い分ける。青文字を蒸留したエッセンスウォーターを用いた「青文字 GIN & TONIC」、琉球シナモンの香りを三通りの方法で抽出した「琉球 Cinnamon Espresso Martini」などが並ぶ。

素材開発と監修を山伏が担い、店舗の運営は1958年創業で多業態の飲食店経営を手がける株式会社ダイナックが担当。カクテルに合わせる甘味の開発は、パティシエのMIKIKO YUI氏が手がけた。

山伏は、国内の原生植物資源を生かすことが林業の活性化や持続可能な食糧供給、新たな国際競争力の創出につながると位置づけ、地域活性化と自然保全の両立を目指してきた。今回の出店は、これまで十分に価値化されてこなかった里山の植物を、飲食という身近な形で価値へと変える試みであり、同社の理念を都市の生活者に伝える一歩となる。