【6月16日鈴木憲和農水大臣会見】鶏卵安定供給へAI活用の新検討会 米国でハラール対応牛肉輸出も解禁

2026年6月16日、鈴木憲和農林水産大臣は閣議後に記者会見を行い、「令和7年度食育白書」の閣議決定、農林水産物・食品の輸出関係閣僚会議の開催、鶏卵の安定的な生産・流通対策パッケージの策定という3点を報告した。

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食育基本法制定20年、節目の白書を閣議決定

食育基本法の制定から約20年の節目となる今回の食育白書は、同法のあゆみを特集として取り上げるとともに、家庭・学校・地域における食育の取り組みや国民意識調査の結果を、38の事例と11のコラムを交えて紹介している。鈴木大臣は「多くの国民に食や農への理解と関心を深めてほしい」と述べ、日頃の食生活や消費行動の参考として広く活用されることへの期待を示した。

輸出5兆円へ商流開拓と市場多角化を加速

閣議に先立って開かれた輸出関係閣僚会議では、5兆円という輸出目標の達成に向けた施策の方向性が議論された。鈴木大臣は、現地系商流の開拓、輸出支援プラットフォームへの専門人材の配置による海外支援体制の強化、GFP(Global Farmers / Fishermen / Foresters / Food Manufacturers Project)の機能強化による輸出事業者の増加と供給力の拡大、ハラール対応食品の供給強化によるムスリム市場開拓など、輸出先国の多角化を進める方針を説明した。直近の成果として、農林水産省と厚生労働省が米国と協議を重ねた結果、米国向け牛肉輸出の認定施設においてこれまで認められていなかった「寝かせ放血」方式が解禁され、ハラール対応も可能になったことも報告された。会議後、木原官房長官から、議論した方向性を新たな成長戦略と来年度予算概算要求に反映するよう指示があったという。

鶏卵対策にAI導入、官民連携の検討会を新設

鶏卵については、近年の高病原性鳥インフルエンザの毎年にわたる発生が価格の高止まりと供給不安定の主因となっているとの認識のもと、農林水産省は総合的な対策パッケージを取りまとめた。柱となる3点は、大規模農場等における分割管理の集中的な推進、スマート畜産技術による飼養衛生管理・疾病予防対策の高度化、外食・加工用向けの液卵流通の推進である。スマート畜産技術の活用については、AIのさらなる導入により衛生対策の強化だけでなく畜産農家の負担軽減や生産性向上も期待されるとして、官民連携によるイノベーション推進と開発技術の普及を目的とした新たな検討会の立ち上げを明らかにした。鈴木大臣自身も検討会に参加するとしている。

農作業事故が年間9万件、熱中症死者も急増

農作業事故をめぐっては、全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)が2026年6月11日に公表した農作業事故件数の推計値が、前回分析時の年間約7万件から年間約9万件へと増加したことが言及された。農林水産省が実施する死亡事故調査でも、2024年の死亡者数が287人と前年比51人増となっており、うち5月から9月の増加分52人のうち21人が熱中症によるものだった。農林水産省は2026年度から7月から9月を「夏の熱中症対策声かけ期間」に設定し、農業者への直接的な注意喚起を強化する。地域で農業者に声かけや見守り活動を行う「熱中症等対策声かけ隊」の募集を6月15日に開始しており、飲料メーカーや農機メーカーなど民間企業とも連携して取り組みを全国に広げていくとした。

消費減税で農林漁業者への影響懸念、国民会議で議論

食料品の消費減税に関しては、免税事業者や簡易課税事業者に該当しうる売上高5,000万円以下の農林漁業経営体が80万を超えており、資材購入時などに負担した消費税の円滑な還付を受けられるかという課題があると鈴木大臣は認識を示した。社会保障国民会議の議論を見守りつつ、農林漁業者の懸念を受け止めた上で適切に対応する姿勢を示している。

米イラン合意でホルムズ航行正常化に期待

米国とイランの戦闘終結合意と6月19日にも見込まれる覚書締結の報道を受け、中東情勢が食品容器や農業資材の供給・価格に与える影響について、鈴木大臣はホルムズ海峡における自由で安全な航行の確保を強く期待すると表明しつつ、資材価格や供給への具体的な影響については引き続き注視が必要との考えを示した。