クロスセクター効果研究会 地域公共交通の多面的な効果算出ガイドラインを公表

クロスセクター効果研究会は、2023年10月31日に「地域公共交通の有する多面的な効果(クロスセクター効果)に係る算出ガイドライン標準版」を公表した。地域公共交通が、経済振興や健康・医療、福祉・介護、教育・スポーツ、環境・エネルギーといった他の行政分野における公的負担額を軽減している効果の算出手法を定めたものだ。

地域公共交通は、住民の移動手段というだけでなく、医療や福祉の質の向上や産業や観光振興、財政の改善に、高齢者が運転する自家用車の交通事故減少、健康増進、地域コミュニティの強化、さらにはまちのブランドイメージ向上や災害時の避難手段の確保など、多面的な外部効果、いわゆる「クロスセクター効果」をもたらすものとされる。例えば、高齢者の外出機会が増えれば、高齢者の健康が保たれ就労機会が増加し、そのために医療費や社会保障費は削減できると期待できる。

今回公表されたガイドラインは、このクロスセクター効果を可視化するためのもの。自治体などでの活用を期待しており、一般向けに販売する。

また、国土交通省は同研究会の活動に協力していく方針を示している。地域公共交通の多面的価値を可視化するツールの必要性はこれまでも指摘されてきた。例えば、「地域公共交通の活性化及び再生の促進に関する基本方針」や「地域公共交通計画等の作成と運用の手引き」などにおいて、公共交通の計画を策定する際に、クロスセクター効果を織り込むことを推奨している。また、政府の「地域の公共交通リ・デザイン実現会議」においても、交通分野だけにとどまらない分野を横断した共創、連携や協働に向けた方向性が検討されている。

MaaS_交通イメージ

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