Space Quarters 無重力・月面重力環境での宇宙溶接技術実証に世界初成功

宇宙建築システムを開発するスタートアップ、Space Quarters(東京都渋谷区)は2026年3月19日、航空機を用いた宇宙重力模擬環境試験において、宇宙真空環境および微小重力・月面重力模擬環境下での溶接技術実証に成功したと発表した。金属材料および月面レゴリス建材を宇宙重力模擬環境で溶接する実証は、世界初の成果となる。

今回の試験では、航空機内に高真空チャンバーを搭載し、同社が独自開発した小型・軽量電子ビーム溶接機を使用。微小重力および月面の6分の1の重力を模擬した環境下で接合試験を実施し、良好な接合状態と十分な強度を確認した。

電子ビームによる省エネルギー金属接合技術は、JAXAの宇宙探査イノベーションハブとの共同研究を通じて開発されたものだ。エネルギー確保や排熱が大きな制約となる宇宙環境に対応するため、異なる重力条件下での溶融金属の変化を検証し、実用性を高めた。また同社は、一般的に100kg以上となる電子ビーム溶接装置を、高圧電源と電子銃を合わせて7kg以下にまで小型・軽量化することに成功。ロボットアームや小型ロボットでの取り回しを可能にしており、宇宙での実用を見据えた設計となっている。

月面への物資輸送コストは1kgあたり1〜2億円ともいわれるなか、現地資源を活用した施工技術の確立は、輸送制約というボトルネックの解消につながる。同社は、軌道上での組立・製造・修理から月面基地建設まで、宇宙インフラ構築の基盤技術として同技術の展開を進める方針だ。

Space Quartersは2022年に設立された、東北大学発のスタートアップ。「人類の可能性を拡げ続ける」をミッションに、軌道上や月面でインフラとなる大規模構造物を施工する宇宙建築システムを開発している。電子ビーム溶接を中核とした宇宙での施工技術を開発し、宇宙空間での製造・組立・修理を可能にする技術プラットフォームの確立に取り組んでいる。