帝人グループ 再生医療CDMO拠点が山口県岩国市で本格稼働

帝人のグループ会社で再生医療CDMO(開発製造受託機関)事業を展開する帝人リジェネットは、山口県岩国市の「岩国ファクトリー」の拡張工事を2026年1月末に完了し、本格稼働を開始した。2026年3月11日に発表した。再生医療CDMOは、患者の治療に用いる細胞や遺伝子治療用製剤などを、規制を遵守したプロセスで受託製造する企業だ。

帝人リジェネットは、2023年に設立された再生医療CDMO専業の事業会社で、バイオベンチャーや製薬企業に対して、再生医療製品の製造工程開発から製品製造までをワンストップで支援している。岩国ファクトリーは、帝人の岩国事業所内に2024年に開設された後、2度の拡張工事を経て今回の完工に至った。千葉県柏市の「柏の葉ファシリティ」と並び、同社のCDMO事業の中核拠点に位置づけられる。

完成した施設の床面積は2400平方メートル。培養室7室、品質試験室2室、実験室1室を備え、がん治療に用いられるCAR-T細胞(キメラ抗原受容体T細胞)療法製品やiPS細胞製品などの受託生産を担う。年間1000例以上のCAR-T細胞療法製品の生産が可能で、すべての培養室が再生医療等製品の製造・品質管理基準であるGCTP(Good Gene, Cellular, and Tissue-based Products Manufacturing Practice)に準拠している。国際水準の品質管理体制を整えることで、海外からの受注にも対応する構えだ。

生産性向上に向けた先進的な取り組みとして、培養室の1室には「ボールルームコンセプト」と呼ばれる設計思想を採用した。製品生産用の機器や設備を固定しない無柱の空間に、完全閉鎖系自動培養装置などを組み合わせることで、生産する製品の種類や製造工程の変更に応じた柔軟なレイアウトが可能になった。1つの培養室内で複数製品を同時に製造できるほか、動線の最適化による省力化とコスト削減も実現している。

また、MES(製造実行システム)を導入し、生産ラインの各工程を連携させることで、在庫および進捗状況のリアルタイム把握を実現。柏の葉ファシリティとの2拠点間で作業計画や生産資源の配分、品質管理などのデータを同時に管理し、最適な工程管理を行う体制を構築した。これにより、生産性向上に加えて、柔軟な地域対応やBCP(事業継続計画)対応も可能になった。