音楽BGM利用にアーティストへの対価還元が実現 著作権法改正で「レコード演奏・伝達権」が成立

2026年6月17日、参議院本会議において「著作権法の一部を改正する法律案」が可決され、成立した。文部科学省・文化庁が推進してきた今回の改正は、実演家やレコード製作者への対価還元の仕組みを抜本的に整備するものである。

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アーティストに届かなかった対価、法整備で解消へ

改正の核心は、いわゆる「レコード演奏・伝達権」の新設にある。音楽CDやインターネット配信音源などの商業用レコードが、レストランや小売店舗などでBGMとして公の場で再生または伝達された場合、アーティストら実演家とレコード製作者が二次使用料を受け取ることができる権利が、法律上初めて明文化された。

これまで、作詞家や作曲家といった著作権者については同様の権利が定められていた一方、実演家やレコード製作者にはその仕組みがなかった。今回の改正はその空白を埋め、音楽制作に携わるすべての当事者に対価が届く体制を整えるものといえる。

142か国に遅れていた権利整備、国際的な相互還元が可能に

この権利はすでに世界142か国・地域で導入されており(IFPI調査)、OECD加盟国38か国のうち日本と米国を除く36か国では既に整備済みである。日本に同制度がなかったことで、相互主義の観点から、日本のアーティストは海外で楽曲が利用されても適切な対価を受け取れないという構造的な課題が生じていた。今回の整備により、国際的な対価の相互還元が可能となり、日本の音楽と実演家の海外展開を後押しする基盤が整う。

新設条文は著作権法第95条の2(実演の公の再生に係る二次使用料)、第95条の3(実演の公の伝達に係る二次使用料)、第97条の2(レコードの公の再生に係る二次使用料)、第97条の3(レコードの公の伝達に係る二次使用料)であり、既存の放送・有線放送に係る二次使用料規定を補完する形で体系に組み込まれた。

指定団体が一元管理、二次使用料規程の協議・裁定制度も整備

制度設計の面では、文化庁長官が指定する団体による一元的な権利行使の仕組みも新設された(第103条の2から第103条の8)。指定団体は二次使用料の額などを記載した二次使用料規程の案を作成して公示しなければならず、利用者代表から協議を求められた際はこれに応じる義務を負う。協議が成立しない場合は文化庁長官への裁定申請が認められ、協議が成立した場合または裁定があった場合には規程を文化庁長官に届け出るとともに公表することが求められる。

施行に向けた実施体制構築は今後に

今後は実演家団体やレコード製作者団体において、徴収・分配の実施体制の構築や小規模事業者等への配慮措置を含む二次使用料規程の検討が進められる見通しである。施行期日は公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日とされており、文部科学省・文化庁は国会審議を通じていただいた指摘も踏まえながら、法律の円滑な施行に向けた周知等を行うとしている。