オレンジ、北米向けマンガアプリで定額配信「emaqi Premium」を開始 10社超が参画

生成AIを活用したマンガの多言語翻訳と海外配信を手掛ける株式会社オレンジは、2026年7月1日(米国時間)、北米向けマンガアプリ「emaqi(エマキ)」で新サービス「emaqi Premium」を開始した。対応地域は米国とカナダで、複数の出版社の作品を一つのアプリでまとめて読める定額制の配信サービスとなる。

emaqi Premiumには講談社USA、VIZ Media、少年画報社、秋田書店をはじめとする国内外の出版社10社以上が参画し、400を超えるシリーズ、2000巻以上を提供する。このなかには約100の独占配信シリーズが含まれる。出版社の枠を超えて作品を横断的に読める点が特長で、これまで発行元ごとに分かれていた海外向けの配信を、単一のアプリに集約する。

オレンジは2021年4月設立で、生成AIを用いた多言語翻訳と、自社プラットフォーム「emaqi」を通じた海外配信を事業の柱とする。翻訳から配信までを自社で担う体制を整えており、2026年7月には単月で100冊の翻訳出版を計画している。今回のPremiumでは、参画各社が持つ作品の権利を正規に扱い、翻訳・ローカライズしたうえで北米の読者に届ける。VIZ Mediaの作品は7月1日以降、順次配信を開始する。

背景には、海外で拡大する海賊版の問題がある。ABJ(一般社団法人ABJ)の調査によると、2025年の違法な海賊版による被害額は6888億円と推計されている。正規に翻訳された作品を、読者が手に取りやすい形でまとめて提供することは、こうした海賊版の利用を抑える一つの手立てとなる。

日本のコンテンツを海外市場で伸ばすうえでは、いくつかの課題がある。日本のマンガは海外でも読者を広げているが、膨大な作品数に対して翻訳・ローカライズの担い手が限られ、正規版が届くまでに時間がかかる。その空白を海賊版が埋めてしまう構図があり、翻訳の量とスピードの確保が課題となる。また、権利や配信が発行元ごとに分かれているため、読者が正規版にたどり着きにくく、対価がクリエイターや出版社に十分に還元されにくい。こうした翻訳と流通の隘路を解消しない限り、海外での需要を正規の市場として取り込むことは難しい。

emaqi Premiumは、生成AIを活用して翻訳のスピードと量を高めつつ、複数の出版社の作品を一括して扱うことで、これらの課題に対応しようとする試みである。海外の読者が正規版に触れる機会を増やし、その対価をクリエイターや出版社に還元する流れをつくる。翻訳・配信のインフラを整えることは、日本のマンガ産業が海外市場で持続的に成長していくための土台づくりにつながる。


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