デジ庁 自動運転の実装へ提言発表、ルールベース・分割処理型AIを早期導入
デジタル庁の今枝宗一郎デジタル副大臣を主査とする「自動運転の将来ビジョンに関するプロジェクトチーム(PT)」は、提言書「2040デジタル・モビリティ国家を自動運転で実現する提言」を取りまとめた。人口減少や地域交通の衰退といった社会課題の解決と、モビリティ産業における国際競争力強化を同時に実現するため、2040年の将来像から逆算した実行計画を提示している。2026年6月16日に公表した。
提言では、世界最高水準のモビリティインフラを誇る幹線交通網に、自動運転を活用した二次交通という新たな付加価値を加え、デジタルの力で多様な移動サービスと社会サービスを高度に接続する「デジタル・モビリティ国家構想」を打ち出した。
具体的な目標は、(1)2030年度までに自動運転サービス車両1万台の導入・稼働、(2)ルールベース・モジュール型AIとE2E(End-to-End)方式の自動運転車両をそれぞれ数千台規模で稼働、(3)遠隔管理者1人当たり数十台規模の管理体制構築、公共交通分野で人力より低コストの自動運転サービスパッケージ構築、(4)バス・タクシー・高速道路自動運転トラックでの持続可能な事業モデル確立、となっている。
基本戦略は「ルールベース・モジュール型AI早期導入戦略」と「E2E開発加速戦略」の二層構成とした。短期の市場獲得と、中長期の技術競争力強化を両立させる。日本はモビリティインフラや公共交通運用に強みを持つ一方、AI・半導体・クラウドといった先端技術領域では遅れがあるとの認識に基づくものだ。社会実装は自治体・交通事業者を中心とする「出口主導型」アプローチを採用しつつ、技術開発はスタートアップ・OEMによる民間主導とする。
2030年までの実行計画は年度ごとに段階的に展開する。2027年度は、国の「先行的事業化地域」に選定された13地域でレベル4の商用運行を開始し、「収益モデル」を確立する。2028年度は隣接自治体や既存交通事業者との連携による「面の展開・広域化」へシフトし、関東・関西間の高速道路では自動運転トラックがレベル4で運行を開始。2029年度は1対多数の遠隔管理体制を本格導入し、運行効率を高めて「高付加価値・高効率」を実現する。2030年度には「低コスト・高効率な運用パッケージ」を全国へ水平展開し、ほとんどのエリアでレベル4運行を実現する。
E2E開発加速戦略では、2027年度に先行する海外技術も活用しつつ都市部のタクシー分野で限定的な運行を開始し、2028年度にレベル2++によるサービス設計とデータエコシステム構築を進める。2029年度には都市部での自動運転タクシーのレベル4商用運行を本格化させ、2030年度には世界最高水準のE2E型レベル4を完成させて全国展開を目指す。
調達・制度面では、自治体ごとに分断された調達制度が広域最適化の障害となっている現状を踏まえ、自治体の枠を超えた広域共同調達を推進する官民連携プラットフォームの構築を提言した。経済安全保障への配慮にも資するとしている。
産業競争力強化の観点では、世界の自動運転車市場が2025年の31.2億ドルから2034年に798.3億ドル(CAGR 43.20%)へ成長すると予測されるなか、世界の自動車販売台数のシェア約25%を自動運転市場でも維持することを目標として掲げた。日系OEMを中心とした開発・量産体制の構築を基本とし、車両・ソフトウェア・運用が一体となった一気通貫での国産技術の確立を図るとしている。
PTは、今枝デジタル副大臣を主査に、日本自動車研究所の鎌田実所長、中京大学の中川由賀教授、専修大学の中村吉明教授、KDDIの勝木朋彦取締役執行役員常務、ティアフォーの加藤真平代表取締役CEO、Turingの山本一成CEO、トヨタ自動車の鯉渕健チーフプロジェクトリーダーの計8名で構成。2026年3月9日、4月7日、4月22日の計3回の会合を経て、今回の提言取りまとめに至った。