暗号資産の税理士依頼は投資額50万円が分岐点

暗号資産の投資経験があり、確定申告時に税理士への依頼を検討した305名を対象とした「税理士への依頼状況に関する実態調査」の結果が、株式会社Clabo(本社:東京都港区、代表取締役:上野 育真)から発表された。

調査によると、暗号資産の確定申告において税理士への依頼経験を持つ投資家は、「過去に一度以上」と「毎年」を合算すると全体の50.49%に達している。このうち「毎年依頼している」層は17.70%であるのに対し、「過去に一度以上」という単発利用層が32.79%を占めた。利益が大きく出た年や取引が複雑化した年など、特定のタイミングに絞ってプロの知見を活用するスポット利用のニーズが高い。
※タップすると拡大します

投資額50万円を境に依頼率が上昇

投資規模と税理士への依頼状況をクロス集計した結果、投資額が増えるほど依頼率が顕著に上昇する傾向が確認された。特に投資額が50万円以上に達すると、それ以下の層と比較して依頼を選択する割合が急激に高まり、ここが実務的な分岐点となっている。50万円というラインを超えると税額のインパクトや計算の複雑さから、万が一の申告漏れや計算ミスによる追徴課税のリスクを重く捉える投資家が増え、専門家を頼るニーズが上回る。

なお、原調査では50万円以上の層で依頼率が100%となっているが、これは当該設問が「税理士への依頼を検討・判断したことがある層」のみを対象としているため、検討の結果「依頼した」層が100%を占めるデータ構造となっている点に留意が必要である。

一方、依頼を見送った層の75.5%は「費用の高さ」を障壁とする一方、10万〜50万円未満の非依頼セグメントでは、30.0%が「どの税理士に頼めばよいか分からない」という情報不足に直面している。

20代はタイパ重視で少額でも依頼を検討

年代別のデータでは、20代において比較的少額の投資段階から税理士への依頼を前向きに検討している実態が明らかになった。自力で時間を浪費するよりも、専門家にアウトソーシングして効率化を図るタイムパフォーマンスを重視する価値観が反映されています。20代では10万円から50万円未満の段階で依頼を検討する割合が33.3%と高く、早い段階で専門家との接点を持とうとする動きが確認された。

高所得層は投資規模に比例して迅速に判断

世帯年収別の分析では、年収800万円を超える高所得層において、投資規模が大きくなるにつれて迷わず税理士へ依頼を切り替える傾向がより顕著に見られた。資金余力がある層ほど、自身の時給単価を考慮した際に自力で計算するコストを高く見積もるため、依頼への切り替えが合理的に行われている。特に年収1200万円以上の層では1万円未満の極少額で依頼を検討する人は皆無であり、一定以上のボリュームになってから一気にプロへ任せるという明確な判断基準を持っている。

一方で年収400万円未満の層では、1万円未満の少額投資であっても30.0%が依頼を検討しており、年収層によって依頼を検討し始めるトリガーが異なる。高年収層は実務効率を、低年収層は未知の損失への恐怖を主眼に置いて税理士という存在を検討しているという、動機の二極化がデータから読み取れる。

職業別・性別による依頼傾向の違い

職業別に依頼状況を分析したところ、会社員・団体職員層において53.06%が税理士への依頼経験を持っていることが判明した。本業を持ちながら多忙な日々を送る会社員投資家にとって、複雑な損益計算を自力で行うことは物理的な負担が大きく、アウトソーシングによる効率化が強く支持されている。また、自営業・自由業層では依頼率が58.54%とさらに高く、事業所得の確定申告と合わせて暗号資産の計算も一括してプロに任せる判断が定着している。逆にパート・アルバイトや学生を含むその他層では依頼率が3割から4割台にとどまった。

男女別のデータでは、男性投資家の依頼率が52.06%であったのに対し、女性投資家は39.47%にとどまるという明確な差異が確認された。男性はハイリスク・ハイリターンな短期トレードや多種多様な銘柄への分散投資を好みやすく、取引履歴が複雑化しやすい背景がある。取引回数が数百回、数千回と膨らむアクティブな投資家ほど、表計算ソフトによる手動計算では限界があり、専門ソフトや税理士のノウハウを頼らざるを得ない状況にある。一方、女性投資家は長期保有や少額の積立投資を選択する割合が比較的高いと推測され、自力での申告が可能な範囲に収まっていることが依頼率の差につながっている可能性がある。