セイコー、「時間白書2026」を発表 効率重視の「タイパ」と心の充足「メンパ」を使い分ける時代へ
セイコーグループ株式会社は2026年6月3日、生活者の時間に対する意識を調べた「セイコー時間白書2026」を発表した。同調査は2017年から毎年実施しており、今回で10回目を迎える。今年は、時間対効果を重視する「タイパ(タイムパフォーマンス)」と、心理的な充足や納得感を優先する「メンパ(メンタルパフォーマンス)」を使い分ける“二刀流”の時代への移行をテーマに据えた。調査では65.8%が「タイパ重視の考え方は社会に定着した」と回答し、61.0%が「タイパを意識して行動している」と答えた。一方で74.3%が「何もしない時間は必要」、56.1%が「何もしない時間を大切にしたい」(いずれも過去最大)とし、63.6%が「効率化したい時間と効率を求めない時間を使い分けている」と回答。効率と心の余白の両立を求める姿勢が浮かび上がった。
具体的には、短縮したい時間として「テーマパークの行列」(48.1%)が最も多く、「人気の飲食店の行列」「SNSやネットの閲覧」が続いた。逆に「長くてもかまわない時間」では「一人で過ごす静かな時間」(57.2%)が最多となった。時間の経済価値を尋ねた設問では、自由時間(オフタイム)1時間の価値は1万1305円と見積もられ、仕事時間(オンタイム)の4836円を大きく上回り、効率化の対象とならない時間が重視されている実態がうかがえた。
調査は、セイコーグループの委託を受けてマクロミルが実施した。2026年4月6日から9日にかけてインターネット調査として行い、全国の15〜69歳の男女1,200人(男女各600人)から回答を得た。一部の設問では高校生男女200人も対象に加えている。監修は、実験心理学や時間知覚の認知研究を専門とする千葉大学大学院人文科学研究院の一川誠教授が務めた。
時間感覚をめぐっては、88.7%が「他人と時間感覚が合わない経験がある」と回答し、80.8%が「時間感覚が違うのは当然」と答えた。さらに調査では、人々の時間の捉え方を「マイペース型」「バランス型」「マイルール型」などのタイプに分類できることも示され、時間意識の多様化が裏づけられた。効率を一律に追い求めるのではなく、立ち止まる時間にも価値を見いだす生活者像は、サービス設計やマーケティング、働き方を考えるうえでの示唆となる。10年にわたり続く定点調査として、社会の時間意識の変化を映し出す資料としても注目される。