脱炭素・防災など社会のニーズに応える3事業 更なる新事業を現世代で

自己潤滑性を有する滑り軸受「オイレスベアリング」の製造企業として知られるオイレス工業。自動車部品から免震・制震装置、ビル内の環境をコントロールする建築機器まで多岐にわたる製品で、社会の要請に応える。70年以上にわたり培ってきた技術と知的財産に基づく新規事業創出を目指した取組にも着手した。

坂入 良和（オイレス工業株式会社　代表取締役社長）

オイレス工業は、オイルレスベアリング、すなわち無給油あるいは少ない給油量・給油回数で使える滑り軸受の製造から始まった企業だ。同社の「オイレスベアリング」^※1は、コンパクトでシンプルな構造から、自動車や産業機械などに幅広く使われている。祖業である軸受事業に、建築物の免震・制震装置などの構造機器事業、建築物の排煙・換気用窓の開閉装置をはじめとする建築機器事業が加わり、現在はこれらの3事業を展開している。

同社の製品を普段の生活の中で直接目にする機会はほとんどないが、様々な場所で社会を支えている。例えば、多くの自動車にオイレス工業の滑り軸受が使用されている。同社の2023年度の実績では、売上高688億円の約半分を自動車向けの滑り軸受が占めている。国内外の主要な自動車メーカーや、自動車部品メーカーのほとんどと取引がある上、自動車部品としてだけでなく、自動車を作るための設備や機械にも使われており、多方面で自動車産業を支えている。また、半導体製造装置、水車・水門などのインフラ設備、建設機械等にも多く使われており、工業化社会のベースと言える。そのほか、新幹線の橋梁や、麻布台ヒルズ森JPタワーをはじめとする高層建築物の免震・制震装置も製造・販売している。

オイレス工業の様々な軸受製品。用途にあわせ、顧客と協力して開発・製造する