大阪市で日本初の条例成立 市街地活性化手法「BID」とは何か
中心市街地活性化の手段としてBIDという仕組みが注目を集めている。地権者に課される負担金を主財源に街を「経営」する制度や組織を指し、今年2月には大阪市で日本初のBID条例が成立した。BIDの本質とは何か。
受益者負担の原則
BID(Business Improvement District)とは法律で定められた特別区制度の一種で、地域内の地権者に課される共同負担金(行政が税徴収と同様に徴収する)を原資とし、地域内の不動産価値を高めるために必要なサービス事業を行う組織を指す。アメリカでは1000以上のBIDが存在し、この10年間でイギリス、ドイツでも制度が導入され、地区経営を支える制度として世界的に広がってきた。
BIDは不動産価値の上昇に効果的な事業を分析した上で、それぞれの事業計画を策定・実施する。事業計画は共同負担金を支払う地権者たちの合意が基本となっている。一般的には行政の公共サービスとは別に、より高度な路上警備、路面清掃を行うほか、イベント等のプロモーションも行う。
長年BIDを研究してきたエリア・イノベーション・アライアンスの木下斉代表理事は、その成り立ちを次のように説明する。「1960年代にトロントで原型が作られ、80年代のアメリカで発展しました。レーガン政権の頃、経済の急速な冷え込みにより、連邦政府は地方都市への交付金を一気に絞りました。都市の地権者たちは国に頼る甘えた心を捨て、危機感を共有し、資金を出し合って、経営的アプローチで活性化事業に取り組んだのです」
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