DeepSeekの衝撃──梁文峰 その信念と経営哲学[構想家の思考と実践]

1月20日、中国企業DeepSeekが突如として低コスト・高性能AIモデルを発表。「DeepSeekショック」とも呼ばれる株式市場の混乱を引き起こすなど、世界に衝撃を与えた。その仕掛け人は、大学時代に“AI盲信”と評された梁文峰(リャン・ウェンフォン)氏。量的投資ヘッジファンドの成功を経てAGI(汎用人工知能)開発へと進む彼の構想の源泉や理念、そして今後を探る。

DeepSeekショック──市場を揺るがした低コスト・高性能AIの衝撃

 2025年1月20日、DeepSeekは「DeepSeek V3」と呼ばれる新しいAIモデルを発表し、大きな話題を呼んだ。米国の先端モデルと同等かそれ以上の性能を持ちながら、開発コストは約560万ドル(約8.7億円)と比較的低額で、高価な最先端半導体を使わなかった点が特筆されている。このニュースを受けて1月27日には株式市場が激しく動揺し、エヌビディア株が一時17%も下落、時価総額で約90兆円が失われたとの報道もあった。関連するハイテク株や半導体銘柄が総じて値を下げ、ナスダック総合株価指数やフィラデルフィア半導体株指数(SOX)も下落したため、投資家の間では「DeepSeekショック」として語られるようになったのだ。

もっとも、その影響は長期化せず、翌28日にはエヌビディア株が9%反発するなど、市場は比較的早い段階で落ち着きを取り戻した。アナリストの間では、この出来事を「完全に予想外というわけではないが、衝撃は大きかった」という意味合いで「グレースワン」と呼ぶ声もあった。しかし、短期間であれ世界の株式市場を揺るがしたことは事実であり、DeepSeekの名を一気に広めるきっかけにもなったといえる。

では、この企業の背後にはどのような人物がいるのか。それこそが

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