中日ドラゴンズ新ファーム施設構想 経済効果420億円と試算 三菱UFJリサーチ&コンサルティング、三菱UFJ銀行

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社と株式会社三菱UFJ銀行は、中日ドラゴンズの新ファーム施設開発「ドラゴンズ・ベースボールタウン構想」がもたらす価値を予測したレポートを公開した。中日新聞社と中日ドラゴンズが2026年5月、ファーム拠点の移転先となる地方自治体の公募開始を表明したことを受けたもので、施設開発が地域や社会に与える効果を経済・社会の両面から考察している。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社作成

新ファーム施設は、スタジアムやグラウンド、選手寮などの球団関連施設で構成し、地域住民やファンに開かれた施設づくりを目指す構想となっている。レポートでは、こうした施設整備によって生まれる経済的価値と社会的価値を合わせた概念を「統合的価値」と定義し、その規模を試算した。

経済的価値としては、建設期間中に約220億円、開業後10年間で約420億円の経済波及効果を見込む。これらは、年間40万人前後の交流人口(うち野球目的15万人、非野球目的25万人)や定住人口の減少抑制がもたらす消費の増加を積み上げたもの。あわせて、固定資産税や住民税などの増加により、開業後10年間で約19億~31億円の税収増につながると予測した。

社会的価値については、地域住民・自治体・産業の三つの視点から整理した。地域住民にとっては健康の増進や都市機能の充実といった生活・文化水準の向上、自治体にとっては環境やインクルージョンに配慮した先進都市への進化と、地域への愛着や誇り(シビックプライド)の醸成、産業にとっては野球界の振興や新たな経済圏の形成などを挙げている。

そのうえでレポートは、こうした統合的価値を最大化するには、施設を「作る」だけでは足りないと指摘する。非野球目的の来訪者も呼び込み、地元の飲食店や商業施設へと人の流れを還流させ、まち全体への移住・定着につなげる一連の取り組みが必要だとした。実現に向けては、球団・自治体・地元企業の連携や、まち全体の情報発信・ブランディングの強化が欠かせないとしている。

レポートは、三菱UFJリサーチ&コンサルティングと三菱UFJ銀行が共同で作成した。作成にあたっては、構想を進める中日新聞社と中日ドラゴンズの両社へのヒアリングを実施し、その内容を踏まえて統合的価値の評価を行った。

本レポートは、スタジアムなどのスポーツ施設が、球団やファンだけでなく、施設が立地する地域の経済や住民の暮らしにも効果を及ぼすことを、数値も交えて示した点に特徴がある。両社は、今回の統合的価値の評価が、国内のスタジアムビジネス、ひいてはスポーツ産業全体のさらなる発展に向けた端緒となることを期待するとしている。