大垣書店、京都に滞在型の複合書店「BOOKHOME」を12月開業 新刊と古書の循環に飲食・教育を融合

京都市を中心に書店を展開する株式会社大垣書店は、新刊と古書を扱う書店機能に、くつろげる滞在スペースや飲食、教育プログラムを組み合わせた複合型文化施設「BOOKHOME(ブックホーム)」を、2026年12月4日に京都市中京区の「ウィングス京都」1階でグランドオープンする。「本屋がまちにあり続けるための新しいかたち」を掲げ、書店を「もうひとつの家」と位置づけて地域の居場所づくりを目指す。

BOOKHOMEは、新刊書に加えて古書も取り扱う。同社は新刊と古書を別のものとして捉えるのではなく、新しく世に出た一冊も、誰かが読み終えた一冊も、ともに「次に出会う一冊」として読者に届ける構想を掲げる。新刊の仕入れ・販売から古書の買い取りまでを一元管理する仕組みを通じて、本が人から人へと循環し、新旧の本が一つの場所で巡る体験をつくる。店内には家のリビングのように過ごせるエリアを設け、本を選ぶ人、ページをめくる人、考え事をする人がそれぞれの時間を過ごせる空間とする。営業時間は午前8時から午後11時までで、施設点検日と年末年始を除き年中無休で営業する。1942年創業の大垣書店は、書籍・雑誌販売を中心に、文化・飲食・イベント関連の事業も手掛けており、今回はその機能を一つの施設に集約する。

運営は、代表取締役会長の大垣守弘氏、代表取締役社長の大垣全央氏、プロジェクトリーダーを務める取締役の大垣守可氏らが率いる。書店機能では、古本の買い取り・販売と書店システム開発を手掛けるバリューブックス(長野県上田市)が、古書の供給に加えて新刊も含めた仕入れから買い取りまでを一元管理する自社開発の書店システムを提供し、新刊と古書が巡る仕組みを支える。教育プログラムでは、探究型学習を運営するTricoLogicが「正解のない問いにいどむ力」を養う学習を、成基が運営する幼児教室「ベビTAM」が生後3カ月から2歳を対象とした親子教室を提供する。飲食では、分身ロボット「OriHime」の遠隔操作技術を開発するオリィ研究所が、ロボットを操作するパイロットが接客する「OrySNACK Kyoto」を運営するほか、鎌倉パスタを展開するサンマルクホールディングス系の「てっぱんのスパゲッティ」、京都発の「カレーショップファミリー」、日替わり弁当やおばんざいを扱う「おかずやきりん」が出店する。それぞれのパートナーが役割を分担し、書店を軸に多様な機能を持ち寄る。

同社によると、国内の書店数は1998年度の2万4237店から減少を続け、2026年3月時点で9993店となり、約6割減少した。2025年度は新規開業102店に対して閉店は499店にのぼり、書店のない「無書店自治体」は510市区町村(約29.3%)に達している。同社は書店の減少を一企業の経営課題にとどまらず、社会全体が向き合うべき課題と位置づける。書店が消えることは、地域の中で人が知識や文化に出会う機会が失われることだとし、従来の本を売る営みに加えて、一棚が伝える文脈やふらりと立ち寄れる居場所、街の記憶が積み重なる時間といった、書店がもともと備えてきた価値を体験として提供する仕組みを模索してきたという。

BOOKHOMEという名称には、訪れる人にとっていつでも帰ってこられる「もうひとつの家」という意味が込められている。本を買う日だけに訪れる場所ではなく、暮らしの中で何度でも帰りたくなる場所を目指す。子どもから大人まで同じ屋根の下で時間を重ね、その中から本や人、新しい好奇心との出会いが生まれる設計とする。教育パートナーは本と人が行き交う書店空間そのものを学びの場として活用し、飲食事業者との連携によって、地域の子育て家庭に寄り添う場や、近所づきあいが生まれる本屋としての役割も担う構想だ。新刊と古書の循環に飲食や教育、コミュニティの機能を組み合わせ、人が集い好奇心が生まれる場として書店の役割を捉え直す取り組みは、地域における書店の存続を模索する一つのモデルとなる。