北都鉄工、橋梁塗装の自動化へ 国交省SBIRに採択、デジタルツインで職人技を継承

大型鋼構造物の設計・製造を手がける株式会社北都鉄工(石川県金沢市)は、国土交通省の「SBIR建設技術研究開発助成制度」に、共同研究課題「フィジカルAIを用いた国土インフラの塗装自動化システム開発に関する研究」が採択されたと発表した。中小・スタートアップ企業タイプで採択された17課題の一つで、交付予定額は700万円。デジタルツイン技術を活用し、橋梁塗装の自動化と職人技能のデータ化を目指す。

同社は1934年創業、橋梁やクレーン、水門、プラントなど大型鋼構造物の設計・製造・施工とメンテナンスを担ってきた。今回の研究では、熟練職人が手と目で培った塗装の技をデータ化し、仮想空間に現実を再現するデジタルツイン上で作業を再現するモデルを構築する。2026年度は調査・分析(F/S)のフェーズとして基盤モデルをつくり、2027〜2028年度の研究開発(R&D)フェーズで、屋内空間における自動塗装のシミュレーションと自律走行ロボットの開発へと展開する計画だ。塗装計画から施工までのリードタイム短縮や塗装品質の安定化を狙う。

研究は北都鉄工の取締役・小池田康徳氏を研究代表者として進める。共同研究者には、デジタルツインの社会実装や3D点群データの活用、AI画像処理を手がける株式会社Tengun-label(東京都新宿区)が参画し、3D点群・AI・デジタルツイン技術を担当する。同社はNVIDIAの「Omniverse」パートナー企業でもある。さらに金沢工業大学が産学連携先として支援に加わる。両者との連携は、金沢市の委託事業「TENJO KANAZAWA」を通じた地域の産学官交流を起点に生まれたもので、2025年の事例発表やマッチングを経て事業計画の策定・申請に至った。現場を熟知する製造業者と計測・データ処理の技術者、大学が役割を分担する体制となっている。

背景には、建設後50年以上を経た橋梁の急増による老朽化と、塗装を担う職人の減少・高齢化がある。橋梁の維持管理には定期的な塗り替えが欠かせないが、技能の継承は難しさを増している。塗装の自動化が進めば、高所や危険区域での作業リスクの低減や、作業期間の短縮、手戻りの削減につながることが期待される。北都鉄工は今回の取り組みを、流行を追うのではなく限られた人的リソースを生かしながら技をデジタルで引き継ぐ挑戦と位置づけており、国土インフラの維持という社会課題への一つの解となるかが注目される。