シヤチハタが化粧品事業に参入 液体研究の知見生かし、2027年に新ブランド設立

スタンプ関連製品や文具製造を手掛けるシヤチハタ(愛知県名古屋市)は2026年11月5日、創業100年超で培った液体研究の知見を生かし、化粧品事業に新規参入すると発表した。2027年春に新ブランドを立ち上げ、第一弾としてスキンケア製品を発売する。

同社は創業以来、スタンプ台やインキ浸透印などの文具・印章関連商品の開発を通じて液体と向き合ってきた。「使用するまでは液体の状態を保ち、使用後は適切なタイミングで乾く」「必要な場所には浸透しながら、必要以上には広がらない」といった相反する要求に応えるため、液体そのものの性質に加え、接する対象物や環境条件によって、液体の動きや状態がどう変化するかを研究してきた。こうして蓄積した液体挙動を設計・制御する知見を、肌に触れる化粧品にも応用できる可能性を見出し、今回参入を決めた。

事業の軸となるのは、液体挙動を高解像度で設計する独自の開発思想「LETLOGIC™(レトロジック)」。スキンケアなどのケア製品では、機能を担う「成分」の研究と、それを届ける「デリバリー技術」の開発が進んでいる。同社はこれらを包み込む「液体全体」に着目し、液体挙動を緻密に設計することで成分のちからを引き出すことを目指す。これにより、「肌の満足を、もっと深める。高解像度ケア」を提案するとしている。

シヤチハタと聞くとハンコの会社と思い浮かべる人が多いが、同社はアナログとデジタルの両方の世界で「しるし」の付加価値を深め、広げることを使命としている。同社代表取締役社長の舟橋正剛氏は「化粧品分野への参入は、一見すると、これまでの事業とは異なる分野への挑戦に思われるかもしれません。しかし、肌もまた、人の第一印象を形づくる大切な『しるし』の一つです。長年の液体研究で培った知見を生かし、一人ひとりの美しさを支えるお手伝いができるのではないか。その想いから、化粧品事業への参入を決めました」とコメントしている。

同社は今後、同事業を通じて生活者起点の商品開発やブランド運営、デジタル上での顧客接点に関する知見を蓄積し、既存事業にも生かす考えだ。また2030年度には、化粧品事業を含む新規事業全体で売上高55億円を目指す。

シヤチハタは1925年に名古屋で創業。スタンプ台や「Xスタンパー」をはじめとするスタンプ関連製品、筆記具、文具事務用品に加え、電子印鑑などのデジタルサービスを展開している。