2026年版ものづくり白書を閣議決定 設備投資とAI活用で収益力を向上
経済産業省・厚生労働省・文部科学省が共同作成した「2026年版ものづくり白書(令和7年度ものづくり基盤技術の振興施策)」が、2026年5月29日に閣議決定された。各国の保護主義的な政策強化による国際経済秩序の揺らぎと、AI等デジタル技術の急速な発展という二つの大きな環境変化に対し、製造業の競争力強化に向けた指針を示している。
白書がメッセージの柱に据えるのは、中長期的な観点での「成長投資」と「経営改革」だ。EBITDAマージン10%以上の高収益企業は、省力化・省人化、増産、システム更新といった設備投資に積極的で、労働生産性・賃上げ率も高い傾向にある。一方、日本の1人当たり名目労働生産性は7.5万ドルにとどまり、米国(22.6万ドル)、ドイツ(11.7万ドル)など主要国に比べ低水準。資本装備率も先進国の中で見劣りする。「大胆な投資促進税制」も活用し、競争力強化につながる設備投資・成長投資の後押しが不可欠とした。
AI・デジタル技術の活用については、経営課題への意識が高い経営者ほど積極的に取り組む傾向がある一方、知識・ノウハウや人材確保が課題と指摘。製造プロセスでデータを取得している事業者は約7割だが、活用して効果を得ているのは約4割にとどまり、企業間データ連携も2年前からほぼ進展していない。これを受け経産省は、製造現場の加工・稼働データを収集してAIモデルを実装する「製造AX拠点」構想を打ち出し、製造プラットフォームの開発支援を進める方針だ。
経済安全保障については、何らかの取組を行う製造事業者が2024年度の約4割から2025年度は約6割に増加。一方、実際の取組は情報収集どまりで、サプライチェーン多角化やサイバーセキュリティ強化など踏み込んだ対応は不足する。重要鉱物の特定国依存や中東に偏る石油化学のサプライチェーンを念頭に、特定国・地域に依存しない調達体制の構築を求めた。
人材面では、製造業就業者数は2025年に1033万人とわずかに減少、中小企業の従業員の過不足を示す指標は製造業でマイナス17.9と人手不足感が強い。「指導する人材が不足している」と答える事業所が6割を超え、技能継承の難しさも浮き彫りとなった。