メルカリCEO 財団設立し女子生徒のSTEM進路選択を後押し

メルカリ代表取締役CEOの山田進太郎氏は、ダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)を推進することを目的に山田進太郎D&I財団を設立した。2021年8月4日に発表した。山田氏は今後、総額30億円を財団に寄贈する。メルカリ共同創業者の富島寛氏も評議員として財団に参画する。

財団の活動の第一弾は、女子生徒が科学・技術・工学・数学(STEM)分野の進路を選択することを支援するための奨学金プログラム。まずは2022年4月に高校に入学予定の女子生徒を対象とした奨学金を設定する。8月4日に募集を始める同奨学金は、日本国内の高等学校理数科、2021年度スーパーサイエンスハイスクール指定高校、または高等専門学校を受験し入学予定の女子生徒を対象としている。国公立の学校に進学する場合は25万円、私立は50万円を給付する。100人程度に支給する予定で、採用者は書類審査ののち、抽選で決める。

山田氏は、「メルカリでD&Iの活動に取り組んできた(月刊事業構想2021年7月号参照)が、女性エンジニアは数が少なく、その候補となるSTEAM分野の女子大学生も少ない。これを改善するためには、中学・高校の段階でSTEMの進路を選択する女子生徒を増やす必要があると考えました」と話した。新設する財団では、2035年度のSTEM分野の大学入学者のうち28%を女性とすることを目指し様々な活動をする計画だ。なお、2021年度のSTEM分野の大学入学者では、女性の割合は18%だった。 

ネットベンチャーであるメルカリの経験を生かし、財団の活動においてもICTを活用する方針だ。奨学金については、応募・選考・支給などプロセスをなるべくオンライン化することで、常時1000人以上の奨学生に支給することを目指す。ソーシャルメディアやオンラインコミュニティ、クラウドファンディングなども利用する。また、財団で設定した目標を達成するためには、STEM分野の進路を選択する女性を1学年あたり約1万1000人増やす必要がある。奨学生の選定を抽選とするのは、なるべく多くの人に興味を持ってもらうためだという。

山田D&I