日工、前田道路 水素燃料によるアスファルト製造の実証を実施

日工と前田道路は、2023年4月11日、水素燃料を使ったバーナーによるアスファルト混合物の製造と、それにより製造したアスファルトの試験施工を実施し、報道陣に公開した。

日工はこれまで、バイオマスやガスを燃料とする低炭素化にむけたバーナー開発を行ってきたが、さらなる低炭素化に向けて、燃焼時にCO2を出さない水素バーナーを2023年3月に東京ガスと共同開発した。今回、前田道路と共同の実証実験として、茨城県にある前田道路の保有する試験プラントに500kWの水素バーナーを設置。アスファルト混合物の製造と試験施工を行った。水素燃料は燃焼温度が高温となるため、一般的な化石燃料より大気汚染のもととなる窒素酸化物(NOx)を発生しやすい。日工と東京ガスが開発した水素バーナーはこの課題をクリアしており、NOxの発生量はガスバーナーと同程度で、環境基準を下回っている。

水素バーナーは燃焼時に水を発生することから、今回の試験は水素燃焼によるプラント設備への影響と、アスファルト混合物の物理性状を確認することを目的に実施した。今後、日工ではアスファルトプラントへの水素バーナー実装にむけ、より強力なバーナーへのスケールアップや、プラント設備の改良を図る。また前田道路では、CO2排出量の少ない道路施工に向け、水素バーナーで製造したアスファルト混合物の物理性状および施工性を評価し、実用化を目指す。

道路舗装に大量に使われるアスファルト混合物の製造過程では、アスファルトと砕石などの骨材、石粉(フィラー)を混ぜて乾燥・加熱させる工程がある。加熱の過程では化石燃料が用いられる。アスファルト混合物の製造過程から発生する二酸化炭素量は、全国の排出量の0.1%に相当する年間約130万トンにのぼる。

水素バーナーのスケールアップが成功すれば、日工は全国に2000基あるとされるアスファルト混合物生産プラントのうち、1割程度を自社の水素バーナーで置き換えたいと狙っている。その際に課題になるのが、水素燃料の安定的・経済的な供給の確保だ。実証実験で用いた水素は、ガスボンベに詰めた気体水素だが、燃料として大量に消費する際には液体水素の供給インフラが必要になる。

前田道路日工2304