Smoltとベルデアクア 次世代型サーモン養殖に向け共同試験を開始
水産スタートアップのSmolt(宮崎県宮崎市)とベルデアクア(愛知県一宮市)は11月12日、両社の技術と知見を融合し、次世代型サーモン陸上養殖モデルの確立を目指す共同実証試験を開始したと発表した。実証試験では、Smoltが開発した「高温耐性サクラマス種苗」とベルデアクアの「電気分解式ろ過システム」を組み合わせ、季節や水温に左右されない安定的な生育環境を構築することで、高品質かつ高成長型のサーモン養殖モデルの実現を目指す。
ベルデアクアの一宮ラボ。高い透明度と陸上養殖特有の臭みのない飼育水が特徴
サーモン養殖では、近年の気候変動による水温上昇の影響で、海面養殖では生産地域や出荷時期が限られるほか、陸上養殖においても低水温下での生物ろ過効率低下や設備の大型化が課題となっている。また、特に閉鎖循環式陸上養殖(RAS)では、ろ過槽内で発生するジオスミンや2-メチルイソボルネオールを原因とするオフフレーバー(魚のカビ臭)の発生が、品質面での大きな課題となっていた。
今回の実証試験では、Smoltの高温耐性サクラマス種苗をベルデアクアの電気分解式ろ過システムに導入。通常より温度の高い環境下でも成長可能な種苗と、低水温でも安定した処理性能を持つ水処理技術を組み合わせることで、サーモン養殖の季節や地域的制約を超えた新しい陸上養殖モデルの有効性を検証する。成長速度・飼料効率・肉質・風味などを多面的に評価し、安定生産と品質維持を両立する仕組みの確立を目指していく。