経産省、国交省 青森・山形沖で洋上風力発電事業認定、2030年運転開始へ
経済産業省と国土交通省は2025年12月16日、「青森県沖日本海(南側)」および「山形県遊佐町沖」における洋上風力発電事業の公募占用計画を認定した。両区域とも2030年の運転開始を目指し、合計出力は約1065MWに達する。供給価格はいずれも1キロワット時3円と、国内の洋上風力発電で過去最安水準となった。
この2区域における洋上風力発電事業者が選定されたのは2024年12月24日。青森県沖日本海(南側)の事業は、つがるオフショアエナジー合同会社が担う。JERAを中心に、グリーンパワーインベストメント、東北電力の3社で構成されるコンソーシアムだ。シーメンスガメサ製15MW風車を41基設置し、総出力615MWの大規模ウインドファームを建設する。基地港湾には青森港を使用し、2030年6月の商業運転開始を予定している。
山形県遊佐町沖では、山形遊佐洋上風力合同会社が事業を実施する。丸紅、関西電力、BP Iota Holdings Limited、東京ガス、地元建設会社の丸高による5社連合で、国内外の洋上風力発電の知見と地域密着のネットワークを融合させた体制が特徴だ。シーメンスガメサ製15MW風車30基で450MWの発電設備を整備し、酒田港を基地港として2030年6月の運転開始を目指す。
両事業とも認定の有効期間は30年間(2055年12月15日まで)。海域占用期間は青森が2027年4月から、山形が2028年4月からとなり、それぞれ2028年頃から本格的な洋上工事に着手する計画だ。両事業者とも、騒音・超低周波音、鳥類・海生生物への影響、景観などについて環境影響評価を進めており、2026〜2027年にかけて準備書・評価書の手続きを完了させる計画となっている。
両事業とも、事業推進にあたっては漁業者との共存が重要課題となる。つがるオフショアエナジー合同会社は、盛漁期(10月〜翌3月)を避けた洋上施工や、地元漁業者が使用する「七ツ石の鼻ライン」と呼ばれる航行ルート上の風車設置除外など、操業実態に配慮した計画を策定している。青森では世界文化遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」への影響評価も求められる。つがるオフショアエナジーは2025年6月に遺産保全部会で概略説明を実施済みで、今後ユネスコ世界遺産センターへの提出に向けて遺産影響評価書を取りまとめる予定だ。
山形遊佐洋上風力合同会社は、漁業影響調査検討委員会から、2025年中に調査計画の承認取得を目指す。また遊佐地域の一員として地域共生策を推進する。海面漁業、内水面漁業、地域の3分野で8つの重点領域を設定し、後継者人材の確保・育成や風車と共存した新たな漁業体制の構築に取り組む方針だ。
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