農地の売却・転用選択肢を即診断 株式会社Mycatが「農地価格シミュレーター」を提供開始

株式会社Mycatは、農地の売却相場と転用可能性を即時に診断できるWebサービス「農地価格シミュレーター」の提供を開始した。AIを活用した中小企業・個人向けサービスの企画・開発・運営を手がける同社が、農地をめぐる情報格差の解消を目指して開発したツールだ。

日本の食料自給率(カロリーベース)は2023年度で38%と主要先進国の中で最低水準にあり、食料安全保障の観点から農地の維持・活用が求められている。一方で農林水産省の調査によると、耕作放棄地(荒廃農地)は全国で約42.3万haに達する。基幹的農業従事者の平均年齢は67.8歳に達しており、離農後の農地が活用されないまま荒廃するケースが増えている。農地所有者にとっては固定資産税の負担や管理コストも問題となるが、自分の農地にどのような選択肢があるかを把握することは容易ではなかった。

農地価格シミュレーターは、全国農業会議所「田畑売買価格等に関する調査結果」の統計データを活用し、都道府県・地目(田/畑)・面積を入力するだけで売却相場と転用可能性を即時に診断できる。無料版では売却相場と転用の概要を確認でき、地域別の詳細分析と転用手続きガイドを含む有料レポートも提供する。

農地の活用手段には、農業委員会のあっせんによる売却、農地中間管理機構(農地バンク)への貸出、宅地等への転用といった複数の選択肢がある。転用については市街化区域では届出で可能だが、市街化調整区域では許可が必要で、立地によって手続きや費用が大きく異なる。農地売却時には特別控除が適用されるケースもある。同サービスはこうした複雑な選択肢を整理し、所有者が農地の現在価値と活用方法を把握するための入口として機能する設計だ。

農業従事者の高齢化と後継者不足を背景に、相続などを機に農地を取得しながらも活用方法がわからない非農業者は増加傾向にある。2023年の農地法改正で農地の集約化や利用促進の制度が強化されたことを踏まえると、個々の農地所有者が自らの選択肢を手軽に把握できる仕組みは、耕作放棄地の解消や農地流動化を後押しする一手となる可能性がある。