二プロ 脊髄損傷治療へ再生医療を本申請、使用成績比較を踏まえ
ニプロは2025年11月17日、脊髄損傷治療用の再生医療等製品「ステミラック注」について、同11月14日付で厚生労働省に本承認申請を行ったと発表した。札幌医科大学と共同開発を進めてきた同製品は、2018年12月に条件及び期限付承認を取得している。7年という承認期限内に実施した製造販売後承認条件評価で有効性・安全性を検証した結果、改めて新再生医療等製品として承認申請した。
ステミラック注は、患者本人の末梢血と骨髄液を採取して、骨髄液中の間葉系幹細胞を培養・増殖させ製造するオーダーメイドのヒト細胞加工製品。「脊髄損傷に伴う神経症候及び機能障害の改善」を効能・効果として2018年12月28日付で条件及び期限付承認を取得していた。これは再生医療等製品の適正使用確保のために必要な条件と、7年を超えない期限を付した承認制度に基づいている。なお条件及び期限付承認は、再生医療等製品の特性を踏まえた日本独自の制度。
今回の本承認申請は、約7年間の使用実績と調査データに基づき、正式な承認取得を目指すもの。ニプロは承認条件に基づき、使用成績比較調査を実施し、ステミラック注を使用する患者と使用しない患者の情報を比較することで有効性と安全性を評価した。
ニプログループは再生医療や最先端医療への取り組みを積極的に推進している(月刊事業構想2025年12月号参照)。脊髄損傷は重篤な後遺症を残すことが多く、有効な治療法が限られているため、再生医療等製品により新しい治療の選択肢ができることが期待されている。