中小企業庁 「イノベーション・プロデューサーガイドライン」を公表

中小企業庁は2026年1月19日、イノベーション・プロデュース推進会議を開催。中小企業のイノベーション支援を担う人材の育成・活用に向けた「イノベーション・プロデューサーガイドライン」を公表した。

中小企業庁は2024年度に「イノベーション・プロデューサー実証事業」を開始し、マーケットインの視点からの中小企業の事業化・新事業進出を支援してきた。今回公表されたガイドラインは、これまでの実証事業を通じて得られた知見を体系化し、支援人材の育成・拡大を図るものだ。

ガイドラインでは、「イノベーション・プロデューサー(イノベP)」を「市場ニーズと企業のコア技術やノウハウから『新結合』による新たな価値を持つ新製品・サービスを構想し、事業化までプロジェクトを牽引する人材」と定義している。

イノベPの特徴は、従来の支援者とは異なるスタンスにある。既存の支援者が「中立的な助言者」として知識と分析を提供し、提案までを責任範囲とするのに対し、イノベPは「能動的な当事者」として構想と実行を担い、結果に対して責任を持つ。企業と共に開発チームを構成し、経営者とともに自らプロジェクトを牽引する点が大きな違いだ。

ガイドラインでは、イノベPを目指す人材として3つのバックグラウンドを例示している。産業支援機関職員、研究機関や試験機関の研究者・職員、民間コンサルタント(開発経験のあるメーカー出身者など)だ。中小企業庁では、各地で既に活躍する支援者が、まずはガイドラインの内容にコミットしてより踏み込んだ支援を行えるようにし、将来的にはイノベPを目指すことを促進していく方針だ。

またイノベPに必要な能力として、ガイドラインでは6つのコンピテンシーを掲げている。「構想力」「マーケティング力」「熱意・牽引力」「技術的知見」「チーム構築力」「発信力」だ。これらの能力を備え、中小企業に不足しがちなマーケティング視点や産学官金とのネットワークを提供しながら、新製品・サービスの事業化を支援する。

同ガイドラインでは、イノベーション創出のプロセスを「4つのフェーズ」と「3つのスパイラル」で整理している。4つのフェーズは、(1)自社分析と競争優位性の特定、(2)ターゲット市場の特定、(3)顧客ニーズへの適合、(4)事業拡大で構成される。(1)(2)をつなぐのが探索スパイラル、(2)(3)をまたぐのが検証スパイラル、(3)(4)をカバーするのが拡張スパイラルとなる。特にイノベPが重要な役割を果たすのは、(1)と(2)の初期段階だ。この時期に深く企業と関わり、有力な事業構想に辿り着くことが成功の鍵となる。これらの反復的なプロセスを主導し、企業と共にサイクルを回し続けることでプロジェクトを牽引していく。

今回のガイドラインは、「イノベーション・プロデューサー(イノベP)ガイドライン策定委員会」のもとに中小企業支援機関、研究機関、人材育成・研修機関、中小企業関係者からの意見を集約し、同委員会での議論を経て策定された。中小企業庁では、国内中小企業が最低賃金の引上げ、物価高や構造的な人手不足などの厳しい経営環境に直面する中で、持続的な賃上げを実現できる「強い中小企業」への成長支援を実施していく。