ユーグレナ、デンソーと微細藻類事業における包括的提携を発表

2019年2月20日、デンソー東京支社(東京都中央区)において、ユーグレナとデンソーの共同発表会が開催された。この場で両社は、微細藻類事業での包括的提携を発表。ベンチャーと大企業のオープンイノベーションによる社会課題解決事業を加速させ、持続可能な社会の実現に貢献していきたいとした。

今回の包括的提携では、バイオ燃料・食品や化粧品といった微細藻類の活用、それにかかわる先端的な技術研究などが想定されている。2014年に東大発ベンチャー企業として史上初の東証一部上場を果たしたユーグレナは2005年に世界で初めて微細藻類であるユーグレナの大量培養に成功。ヘルスケア事業とエネルギー事業を展開しており、エネルギー事業に関しては、2018年10月に「日本をバイオ燃料先進国にする」ことを目指す『GREEN OIL JAPAN(グリーンオイルジャパン)』を宣言し、横浜市にバイオ燃料製造の実証プラントを竣工させている。

一方デンソーは、2008年から微細藻類コッコミクサKJ(旧名シュードコリシスチス)を活用したバイオ燃料の研究に取り組んでおり、藻体の油脂分の蓄積効率向上の研究と、屋外大量培養技術の確立に向けた実証実験を行ってきた。

両社は、複数の微細藻類を原料にバイオ燃料を製造することで、バイオジェット・ディーゼル燃料供給の安定性向上を狙っている。今後、ユーグレナのバイオ燃料製造実証プラントにおける原料の一部に、デンソーのコッコミクサKJから抽出される油脂を使用し、バイオ燃料を製造・供給することを目指す。デンソーは、ここで製造されたバイオディーゼル燃料の一部を社内運行バスに使用することも検討している。

ユーグレナ代表取締役社長の出雲充氏(月刊事業構想2019年1月号参照)は、今後、エネルギー領域においては今以上の生産能力が必要になると指摘。ユーグレナのバイオサイエンス技術と、デンソーの大規模・大量生産に関する技術・ノウハウを融合させることで2025年に25万トンのバイオ燃料生産を目標にしたいと語った。

一方のデンソーにおいても、ユーグレナの持つ食品製造や商品開発のバリューチェーンが魅力となる。発表会に出席した専務役員の伊藤正彦氏はユーグレナ社の製品開発や販売面でのノウハウへの期待を語った。

デンソーとユーグレナ.jpg