2019年1月号
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失敗の繰り返しが生む成功

ミドリムシで世界を救う なぜユーグレナは「世界初」に挑むのか

出雲 充(ユーグレナ 代表取締役社長CEO)

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2005年12月、絶対に不可能と言われたミドリムシ(学名:ユーグレナ)の食用屋外大量培養に世界で初めて成功。事業構想とは何か、イノベーションはいかにして起きるか……。『ミドリムシで世界を救う』。株式会社ユーグレナ創業者・社長の出雲充氏がミドリムシに懸ける夢を語る。

出雲 充(ユーグレナ 代表取締役社長)

「夢をかなえるミドリムシ」との出会い

サラリーマンの父と専業主婦の母を持ち、ニュータウンに暮らす。ごく平凡な中流家庭に育った出雲充氏。そんな出雲氏がミドリムシに〈大恋愛〉し、ベンチャー企業を立ち上げた。その転機が訪れたのは、大学1年の夏だった。

作りたてのパスポートを手にバングラデシュを訪れた出雲氏。世界で最も貧しい国のひとつとされる場所で出雲氏が目にしたのは、食料不足ではなく、栄養失調に悩まされている子どもたちだった。米の自給率100%のバングラデシュ。日々食べる米は十分にあるが、野菜、肉、卵などが手に入らず栄養バランスのとれた食事ができない。

「世界73億人のうち、10億人が充分な食料がなく苦しんでいます。そのほとんどが、新鮮な肉、卵、野菜にアクセスできず、栄養失調になっている。栄養の勉強をして、一番栄養価の高い食べ物を見つけ、バングラデシュに持っていこうと決めました」(出雲氏)。

そんな出雲氏の目の前に現われたのがミドリムシ。植物と動物、両方のいいとこ取りをしている微細藻類で、59種類もの栄養素を持っている。

出雲氏にとっては夢のような素材であるミドリムシだが、事業化するのは容易ではなかった。食用にするには大量のミドリムシが必要だが、培養しても簡単には増えない。人1人が1カ月お世話してやっとスプーン1さじ。これでは、バングラデシュの子どもたちは救えない。

栄養価の高いミドリムシは、あらゆるバクテリアやプランクトン、昆虫にとってもご馳走だ。どんなにクリーンな環境で培養しても、外部からわずかな微生物が侵入しただけで食い尽くされてしまう。そこで、発想を転換、ミドリムシ以外は嫌がって近寄らない培養環境を作るべく、模索した。

2005年12月16日、世界初となるミドリムシの屋外大量培養に成功。これまで大学の研究室でどんなに頑張っても1年で100gしか培養できなかったミドリムシを、ユーグレナでは現在、1年で160トン培養している。

「栄養失調に苦しむ10億人に新鮮な野菜や肉を届けることは不可能です。でも、毎日10億匹のミドリムシ(粉末カプセル5粒ほど)を届けることなら可能です。これで、この地球から栄養失調をなくすことができる。『ミドリムシで世界を救う』、これがユーグレナを設立した理由です」(出雲氏)。

ミドリムシ(学名:ユーグレナ)

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