フィジカルインターネットアワード2026 受賞者が決定

一般社団法人フィジカルインターネットセンター(JPIC)は2026年2月26日、フィジカルインターネットシンポジウム2026において、第1回フィジカルインターネットアワード2026の表彰式を開催した。経済産業省・国土交通省の後援のもと、物流のサプライチェーン全体で連携し、フィジカルインターネット(PI)の実現に挑む先駆的な取組を「社会実装部門」「パイロットプロジェクト部門」の2部門で表彰した。

フィジカルインターネットとは、インターネットが一定サイズに分散したデータパケットで情報をやり取りするように、物流においても、荷物を標準化された単位で共同利用・中継輸送する仕組みを目指す概念だ。荷主・物流事業者・ITベンダーといった従来の壁を越えた水平連携や垂直統合、デジタル連携、標準化などが柱となる。トラックドライバーの時間外労働規制の強化を契機に注目を集めた物流の2024年問題。日本の物流が抱えてきた人手不足、非効率性、企業間の情報分断といった構造的課題が一気に表面化した。こうした課題に対し、JPICは「単なる危機ではなく、未来を拓くチャンスである」との認識のもと、PIアワードを創設した。

社会実装部門では、すでに運用として定着している取組が対象となった。最優秀賞は、共創型コールドチェーンを構築した霞ヶ関キャピタル、J・MADE、大阪高速乳配、X NETWORKが受賞。冷蔵・冷凍物流という高度な専門性が求められる領域で、複数企業が連携し物流ネットワークを実現した取組が高く評価された。

優秀賞には、トレードワルツの提供する貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz」が選ばれた。同プラットフォームは、貿易実務のデジタル化・標準化を推進するものとして社会実装が進んでいる。奨励賞は共同輸送データベース「traevo noWa」による持続可能な物流で、運輸デジタルビジネス協議会とtraevoが受賞した。

パイロットプロジェクト部門は、特定の地域や条件下で試験的導入を行い、成功の可能性や課題・効果が確認された取組を対象としたもの。最優秀賞には、日本パレットレンタル・長瀬産業(月刊事業構想2025年10月号参照)が構築した、化学品業界における共同輸送マッチングシステム及び他業界との連携が選ばれた。化学品は荷扱いの難易度が高いが、そのハードルを越えた新しい取組が注目を集めた。

優秀賞はトラボックス、鹿島建設の「プライベートトラボックス」が受賞。建設業界という、物流改革が遅れがちとされてきた分野から生まれた挑戦が認められた。水平連携と垂直統合の両面からアプローチし、建設資材の輸配送を効率化する新たなモデルを提示した。

奨励賞にはアイディオット、丸和運輸機関、野村総合研究所の「フィジカルインターネット」&「スマートボックス+共通かご車」が選ばれた。スマートボックスと共通かご車を組み合わせた物理的な標準化と、デジタル連携を両立するアイデアが評価された。PIの根幹である「モノの標準化」を具体的な形にした点が特徴だ。

各部門の審査では、「課題解決への貢献度」「革新性・新規性」「他分野・他産業への波及効果」「経済性・効率性」「PI構成要素の取組状況」の5つの観点から、フィジカルインターネット実現会議委員等による評価が行われた。JPICは今後もPIアワードを通じて先進的な実践に光を当て、物流の持続可能性と産業競争力の向上を後押ししていく構えだ。