川田テクノロジーズ、人と一緒に働くヒューマノイドロボットの開発加速

川田テクノロジーズ株式会社（北区）は、工場や工事現場での開発において、自社グループの施設での運用試験を開始したことを11月28日に発表した。川田グループは、25年以上にわたるヒューマノイドロボットの研究開発で培った知見を活かし、実用的な「人と共に働く全身型ヒューマノイドロボット」の社会実装に向けて、開発を加速する。

機材センター（川田建設）での運用試験の様子(プレスリリースより）

日本をはじめ多くの国々で、少子高齢化による労働力人口の減少、熟練技術者の不足、技術継承の困難化といった課題に直面するなか、川田グループは、経済産業省「人間協調・共存型ロボットシステムの研究開発」プロジェクト（1998～2002年度）への参画をきっかけに、全身型ヒューマノイドロボット「HRPシリーズ」の開発を行ってきた。工場で人と共に働く上体型モデル「NEXTAGE」シリーズを2011年にリリースし、これまでに累計1,000例以上の導入実績がある。

「人と一緒に働く全身型ヒューマノイドロボット」開発においては、これまで培った技術と知見を活かし、人の作業環境における既存ツールや多様な作業対象に柔軟に対応できるようにする。工事現場の不安定な足場でも移動でき、転倒しても壊れにくく、かつ実用的な作業性能を両立するヒューマノイドロボットの実現を目指す。

過去に開発したヒューマノイドロボット「HRP-2」の内部システムを刷新するとともに、センサー、カメラ、バッテリー、通信システムの入れ替え、GPU導入、OS・ソフトウェアの更新により、最新のAI×ロボット研究成果を導入・評価する環境を構築する。

近年、AIをはじめとする様々な技術の進化により、ヒューマノイドロボットが目覚ましい発展を遂げる一方、作業性の高いハードウェア、実用的で使いやすいシステム、多様な環境への対応など、多くの課題が残されている。川田グループはこうした技術課題の克服を長期的なプロジェクトと捉え、現場と社内外との連携を強化しながら開発を進める。

HRP-2（プレスリリースより）

北海道大学（大学院情報科学研究院 システム情報科学部門 知能ロボットシステム研究室　近野敦教授）、大阪大学（大学院基礎工学研究科 システム創成専攻 原田研究室　原田研介教授）、豊橋技術科学大学（情報・知能工学系 情報ロボットシステム研究室　垣内洋平教授）、香川大学（創造工学部 機械システムコース 小水内研究室　小水内俊介准教授）、福井大学（工学部 機械・システム工学科 インタラクティブ・ロボティクス研究室　築地原里樹講師）の各研究室との共同研究を開始し、AIを用いた新しいアプローチと、これまでのモデルベースの考え方を組み合わせることで、実用的なヒューマノイドロボットに必要な技術課題の解決を目指す。

まずは屋内施設である機材センターにおいて、橋梁架設のための再利用部品の分類、整理、搬送といった、専用機での自動化には見合わない量のタスクをこなせる汎用ロボットを目指し、必要となる技術提携や共同研究、積極的な人材採用を行う。

HRP-3（プレスリリースより）

その上で、AI×ロボット技術を活用しつつ、高精度な作業には「NEXTAGE」で培った双腕ロボットの知見を組み合わせられるシステムの開発を進めていく。検証の場を屋内工場から半屋外の工場、工事現場へと広げていき、実環境での課題抽出・改善・検証を繰り返すことで、汎用性と信頼性を高めていく。