日本財団　世界初の旅客船における自動運転レベル４相当での商用運航開始

日本財団は2025年12月10日、無人運航船の実現と人や物資の安定的輸送を目指すプロジェクト「MEGURI2040」に参画する離島航路旅客船「おりんぴあどりーむせと」が、国内初となる「自動運航船」として国の船舶検査に合格したと発表した。これにより、一般旅客が乗船する定期船としては世界初の自動運航機能（自動運転レベル4相当）を活用した商用運航を開始する。国内には400以上の有人離島があり、船員不足等で生活航路の維持が課題となる中、今回の運航開始を皮切りに船の自動化が加速することで、離島における安定的な人・モノの輸送手段の確保が期待される。

日本財団は、少子高齢化による船員不足や、ヒューマンエラーによる事故の減少等を目指し、2020年2月より「MEGURI2040」を開始。2022年1月～3月に同プロジェクトの第1ステージの一環として実施された実証運航では、船舶交通量の多い「輻輳（ふくそう）海域」として選定された東京湾での運航や、長距離（北海道苫小牧から茨城県大洗までの約750km）・長時間（18時間以上）の無人運航を成功させた。第1ステージの知見を活用して進行中の第2ステージでは、より環境負荷が小さい輸送手段へ転換する「モーダルシフト」を担う一翼として、旅客船やコンテナ船、RORO船といった様々な船舶を商用運航させ、社会実装することを目指している。

今回お披露目された旅客船「おりんぴあどりーむせと」は、2025年度中に商用化予定の自動運航機能搭載船舶、計4隻のうちの第1弾で、一般乗客を運ぶ旅客船としては唯一となる。日本財団では、残る３隻の自動運航技術の実証と開発を進めながら、自動・無人運航に係るルールや法整備、社会的な理解も促しながら、2040年には内航船の50%の無人運航化を目指す。