スペースデータ、桜島の大規模噴火を再現する「Volcano Simulator」を公開 降灰被害を時系列で可視化
株式会社スペースデータは、宇宙AIプラットフォーム「SpaceBrain(スペースブレイン)」のレジリエンス領域「Geo-Resilience(ジオ・レジリエンス)」で、火山噴火・降灰の模擬機能「Volcano Simulator」を公開した。SpaceBrainは、衛星画像や地形データを用いて地球環境を精密に再現するデジタルツイン技術を基盤とするプラットフォームで、Geo-Resilienceはそのうち災害リスクの予測から被害評価、意思決定支援までを一体で担う領域にあたる。
Volcano Simulatorは、鹿児島県の桜島と鹿児島市街地を高精細に再現したデジタルツイン空間上で、大規模噴火の想定シナリオに基づき、噴火の発生から風下への降灰、視界の悪化や交通への影響までを再現するツールである。噴火開始から1・3・6・12時間後の5段階をスライダーで切り替えると、噴火警戒レベルや噴煙高度、降灰の厚さ、視界がパネルに連動して表示される。想定風向に基づき、火口から風下の鹿児島市側へ扇状に広がる降灰範囲をヒートマップと3D地図で示し、避難区域・避難所や道路の通行止め、空の便の欠航・鉄道の遅延といった被害アラートも統合して提示する。3D地図上の任意地点をクリックすると、その地点に火山灰が降り積もる様子と、累積の降灰厚さ・面積を確認できる。
現時点で公開されているのは、想定シナリオに基づく噴火・降灰データを用いたデモンストレーション版である。同社は今後、気象庁が発表する火山情報や実際の風向・風速データとの連携、移流拡散モデルに基づく降灰予測の高度化、人口・道路・空港などの地理空間情報との統合を段階的に進める方針を示している。用途についても、訓練・教育から、実運用における状況認識や意思決定支援へと広げることを目指すとしている。
桜島は火口からおよそ10kmの距離に鹿児島市街地があり、大規模噴火の際には降灰が道路交通や空の便、鉄道、視界、ライフラインに広範な影響を及ぼすと想定される。ただし降灰の範囲や厚さは刻々と変化するため、文字や数値の情報だけでは被害の全体像を共有することが難しい。Volcano Simulatorは、自治体や防災機関が状況認識を共有し図上訓練を行う場面、住民への防災教育の場面などで、立場の異なる人々が同じ画面を見ながら「噴火が起きたら何が起こるか」を把握するためのコミュニケーション基盤となることを目指している。