【応用編】ライフ・キャリア・レインボーとは? 人生の優先度を見直すキャリア理論

「転職すべきか悩んでいる」「子育てと仕事の優先順位が分からない」「学び直したいけど時間がない」——こんな迷いを感じているなら、視点を少し変えてみませんか?キャリアを「仕事」だけでなく、「人生の役割全体」として捉え直すと、今の悩みの本質が見えてきます。それを可能にするのが、キャリア理論でも代表的な「ライフ・キャリア・レインボー」の考え方です。解説編と応用編の前後編でお届けします。(本記事は後編の応用編です)前編はこちら。
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おさらい:ライフ・キャリア・レインボーとは

前編では、ライフ・キャリア・レインボーとはキャリアを「人生全体における役割の重なり合い」として捉える理論だと解説しました。人生を5つのライフステージ(時間軸)と、8つ(もしくは9~10)のライフロール(役割)に分ける考え方です。実践編となる今回は、具体的にどのように活かせるのか、また「知っておくべきポイント」について解説していきます。

役割間の葛藤(ロールコンフリクト)は自然なこと

まず、知っておくべきことがあります。それは複数の役割を同時に担う私たちは、しばしば役割間での葛藤を経験するということです。よくある葛藤の例としては次のようなものがあります。

•    「労働者」として残業したいが、「親」として子どものお迎えに行く必要がある
•    「学生」として学び直したいが、「配偶者」として家庭の時間も大切にしたい
•    「市民」として地域活動に参加したいが、「労働者」として仕事が忙しい

このような葛藤は決して悪いことではなく、自分の価値観を見つめ直すきっかけになります。以下の簡単なチェックで、現在の自分の役割バランスを可視化することができます。

ステップ1:時間の配分チェック

1週間の時間(168時間)を、8つの役割にどう配分しているか書き出してみましょう。
例:40代会社員の場合
•    労働者:50時間(通勤含む)
•    配偶者:20時間
•    親:30時間
•    市民:2時間
•    余暇人:10時間
•    学生:0時間
•    子ども:3時間(親への連絡等)
•    睡眠・生活基本時間:53時間

ステップ2:満足度チェック

各役割について、現在の満足度を5段階で評価してみましょう。

ステップ3:理想とのギャップ確認

「本当はどの役割にもっと時間を使いたいか?」「どの役割の満足度を上げたいか?」を考えてみてください。
このギャップこそが、あなたの「キャリアの課題」なのです。

    ライフ・キャリア・レインボーを知ると、何が見えてくる?

    この考え方を知ることで、どのようなプラスがあるのでしょうか。例えば今抱えている悩みが、仕事だけではなく、家族や人生の価値観にも関係していると分かるようになるでしょう。また、「どの役割にどれくらいの時間やエネルギーを使っているか」の棚卸しにもなります。リスキリングや転職、家庭との両立など、自分の優先順位を整理できるようになるかもしれません。役割間の葛藤を「解決すべき問題」として客観視できるようにもなるでしょう。

    事例紹介:キャリアコンサルタントに相談して見えたこと

    事例1:50代男性、早期退職の不安と新たな道

    大手メーカー勤務の50代男性のAさん。勤め先から早期退職制度の案内を受け、「今後どうすべきか」と迷い、キャリアコンサルタントに相談しました。最初は再就職一択と考えていましたが、話し合いの中で「社内研修で後輩指導していた時間」が一番充実していたことに気づきます。そして退職後、企業向け人材育成の講師として独立。週3日程度の勤務で、自分のペースで働きながら孫の面倒も見られる生活に満足しているようです。不安はあるものの、講師として独立したことで、これからの生き方についても再構築して新たなキャリアを歩むケースです。

    事例2:40代女性、家庭とキャリアのバランス再考

    医療系職種の40代女性のBさん。子育てと仕事の両立に悩み、キャリアの見直しを決意しました。キャリアコンサルタントといっしょに「自分が担うライフロール」を見直した結果、「親」としての役割を優先する2年間の時短勤務を選択します。その間に通信制の大学で心理学を学び直し、現在は、こどもと一緒に過ごす時間に加えて、通信制の大学で心理学を学んでいるそう。卒業後は、心理学とこれまでのキャリアを活かして、研修企画などの事務系職種に転職に向けて準備中とのことです。

    まとめ:キャリアは「独りで抱え込まなくていい」

    迷ったときにこそ、「自分のこれから」を整理する時間が必要です。ライフキャリアレインボーは、そのための"地図"になります。そして、キャリアコンサルタントは、それを一緒に読み解く"ナビゲーター"です。

    転職、学び直し、両立、定年後の人生――どのタイミングでも、プロとの対話から始まるキャリアの再設計は、きっとあなたの支えになります。

    まずは、無料相談から。未来の自分のために、今、少しだけ時間を取ってみませんか?

    出典: Super, D.E. (1980). A life-span, life-space approach to career development. Journal of Vocational Behavior.

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    酒井
    酒井 信幸
    キャリアコンサルタント/社会構想大学院大学 事務局長 兼 先端教育研究所研究員