【11月6日古川俊治デジタル大臣会見要旨】高性能AIによる脆弱性チェック前倒し、予備費使用を閣議決定
古川俊治デジタル大臣は2026年11月6日、記者会見を開いた。サイバー安全保障担当大臣として、事業者を狙ったサイバー攻撃で情報漏えいが相次ぐなか、同日開かれる2回目の関係閣僚会議で政府の「緊急対策パッケージ」が取りまとめられる予定だと会見で報告した。同日の閣議で、高性能AIを用いた脆弱性チェックの前倒しなどに充てる予備費の使用を決定したことも明らかにした。デジタル大臣としては、「国民の体験向上に向けた行政サービスの導入計画(国民向け行政サービスロードマップ)」の最新版を公表すると発表した。質疑応答では、不要になった個人情報の消去をめぐる法改正の要望や、AIで脆弱性を点検する意義について見解を述べた。
二次被害も発生、緊急対策パッケージへ
古川大臣は会見の冒頭、国内の事業者を狙ったサイバー攻撃によって大規模な情報漏えいが相次ぎ、漏えいした情報を悪用した二次被害も起きていると説明した。深刻な事態だとの認識を示している。
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政府は10月26日、「サイバーセキュリティに関する関係閣僚会議」を開いた。古川大臣は会見で、この会議に高市早苗内閣総理大臣、木原稔内閣官房長官と関係閣僚が出席したと紹介した。高市総理は会議で、翌週中をめどに政府として緊急対策パッケージを取りまとめる方針を示し、各大臣に財政措置を含めた必要な対策の検討を急ぐよう指示している。
古川大臣は会見で、内閣官房国家サイバー統括室が総理の指示を踏まえ、関係省庁と密接に連携しながら必要な対策の具体化を進めてきたと説明した。6日に開かれる2回目の関係閣僚会議で、これまでの検討内容が緊急対策パッケージとして取りまとめられる予定だという。
AI活用の脆弱性チェックに予備費
古川大臣は会見で、緊急対策パッケージの取りまとめに先立ち、6日の閣議で一般会計予備費20.4億円の使用を決定したと報告した。政府などのシステムを対象に、高性能AIを用いた脆弱性チェックを前倒しで実施するための予算だという。
デジタル庁の対策についても、大臣は会見で説明した。政府全体のサイバーセキュリティを強化する観点から、所管するシステムでAIを活用した脆弱性診断を強化するという。マイナンバーによる安全で確実な本人確認の利活用を広げるデジタル認証サービスなどのセキュリティを高めるほか、政府の重要な業務システムに関わるセキュリティ基盤の強化にも取り組む方針だ。費用にはデジタル庁に一括計上されている情報システム予算を活用する。そのうえで、なお不足する経費に充てるため、一般会計予備費38億円の使用も決定したと述べた。
古川大臣は会見で、緊急対策パッケージに盛り込まれる取り組みを速やかに実行し、日本のサイバーセキュリティの一層の強化に取り組みたいと語った。
原因は基本的な対策の不備
古川大臣は会見で、国家サイバー統括室が緊急対策パッケージの検討にあたり、関係省庁と連携して一連の不正アクセス事案を分析してきたと明らかにした。大臣によると、モバイルアプリの開発やウェブサイトの運用で、サポートが終了したソフトウェアや、セキュリティパッチが適用されていないソフトウェアが使われていたという。こうした事業者やその委託先における基本的な対策の不備が原因とみられる事例を、多数確認したと述べた。
同室は11月5日、注意喚起を公表している。大臣は会見で、この注意喚起に一連の攻撃の手口などを反映したと説明した。そのうえで、個人情報を扱う事業者に対し、注意喚起を確認して必要な対策を講じるよう求めた。
ロードマップに「就職/転職」分野
続いて古川大臣はデジタル大臣として、国民向け行政サービスロードマップを更新し、最新版を同日デジタル庁のウェブサイトで公表すると会見で発表した。
大臣は会見で、ロードマップの位置づけも説明した。デジタルサービスの利用者体験を国民にわかりやすく示すことを目的に、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の内容をもとに2024年度から毎年作成しているという。出生や引越し、結婚といったライフイベントごとに、デジタル技術で便利になった行政サービスをいつから、どのような形で利用できるのかを、利用者の視点でまとめたものだ。サービスを実現しているデジタル基盤も明確にしていると述べた。
大臣によると、最新版では「就職/転職」分野を新しく作成した。マイナポータルで雇用保険受給資格通知を受け取れるようになることや、マイナンバーカードを介護保険の被保険者証として利用できるようになることも追加したと、会見で紹介した。古川大臣は、わかりやすさを意識しながら、誰もがデジタル化の恩恵を享受できる社会を目指すと述べた。関係省庁や自治体と連携し、利用者の視点に立った行政サービスの改革を着実に進める考えを示している。
不要データの消去、まず現行規律の順守を
質疑応答で記者は、企業が不要になった個人情報を速やかに削除するよう求める法改正を日本維新の会が要望していることを挙げ、個人情報保護委員会を担当する大臣としての考えを尋ねた。
古川大臣は会見で、要望を承知しているとしたうえで、現行の個人情報保護法の仕組みを説明した。大臣によると、同法は個人データを利用する必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう事業者に求めており、これは努力義務として定められている。個人情報保護委員会はこの消去も含め、個人情報の取り扱いについて事業者に必要な指導や助言を行っているという。大臣は、まず事業者がこの規律を守って個人情報を適切に扱い、委員会が事業者への指導を着実に行うことが重要だと強調した。
委員会は2026年10月7日、大規模な漏えい等事案を踏まえた対応として、事業者に注意喚起を行っている。古川大臣は会見で、この注意喚起について説明した。保管している個人データが必要かどうかを、保存期間などの法令上の根拠も含めて適切に確認するよう求めたものだという。大臣は、事業によって状況が異なるため、委員会による個別の調査を踏まえた指導や、広く注意を促すといった対応が必要になると述べた。そのうえで、必要があると認めた場合には、制度を含めた措置を検討していくことになるとの見方を示した。
攻撃される前に穴ふさぐ
記者からは、予備費を使ってAIで政府システムの脆弱性をチェックする取り組みを前倒しする意義についても質問が出た。古川大臣は会見で、これまで見つけられなかった脆弱性が高性能AIによって発見される事例もあると指摘した。脆弱性が攻撃の対象になる前にセキュリティホールをふさぐためにも、高性能AIで既存のシステムをしっかり点検し、脆弱性が見つかった場合には速やかに対応してもらうことが重要だという。大臣は、この取り組みを続けることがサイバー攻撃者への有効な対応になるとの認識を示した。
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