中川政七商店が初のM&A 豊岡のかばんメーカー承継し「リレー型事業承継」へ
奈良の老舗生活雑貨企業・中川政七商店は2026年9月14日、兵庫県豊岡市のかばんメーカー、バッグワークスの発行済株式の全てを2026年8月21日付で取得し、子会社化したと発表した。1716年創業の中川政七商店にとって、創業以来初めてのM&Aとなる。
バッグワークスは1954年創業。国内最大級のかばん産地である豊岡市で、郵便や銀行、医療などの現場で使われる業務用かばんを製造してきた。2011年から中川政七商店のコンサルティングを受け、2012年に自社ブランド「BAGWORKS」が誕生。郵便配達員のかばんから着想した「POSTMAN」や、ドクターズバッグをリデザインした「DOCTORMAN」などを展開し、現在は同ブランドが売上高の80%以上を占める主力事業となっている。中川政七商店における2025年度の売上は前年度比110%と伸びた。
背景にあるのは事業承継の課題で、日本企業の後継者不在率は50.1%にのぼり、業績が健全であっても、経営者の高齢化や後継者不在を背景に事業の継続を断念する企業は少なくない。バッグワークスは黒字・無借金経営だが、生産計画や商品企画、販売などの経営判断は前社長の経験と判断に支えられてきたという。
中川政七商店は今後、判断基準を明文化して組織で分担する「経営・生産管理体制の構築」、販売データやブランディングの知見を生かした「商品企画力の強化と販路拡大」、「豊岡に根差した経営人材の育成」の3つに取り組む。また、ものづくり企業の経営には、技術や働く人、取引先、産地との関係を理解して現場に根差して判断することが欠かせないとの考えから、奈良から恒久的にバッグワークスを経営し続けることはゴールとせず、将来的には同社内または豊岡の地域で育った次の経営者へ事業を託す「リレー型事業承継」を目指す。