【11月2日赤澤亮正経済産業大臣会見要旨】中小企業向けに無料のサイバー相談窓口設置
赤澤亮正経済産業大臣は2026年11月2日、記者会見を開いた。質疑応答では、相次ぐサイバー攻撃を受けて政府が取りまとめを進める「緊急対策パッケージ」に関連し、中小企業向けの支援策を説明した。同日に発足した防災庁については、防災庁設置準備担当大臣を務めた立場から受け止めを語り、中小企業の事前防災やフィジカルAIの社会実装に取り組む考えを示している。中東やアジアでの経済エネルギー分野の取り組みや、米国の中間選挙についても見解を述べた。
サイバー攻撃に企業規模関係なし
政府は2026年10月26日、首相官邸で第1回「サイバーセキュリティに関する関係閣僚会議」を開いた。高市早苗内閣総理大臣はこの会議で、来週中をめどに政府としての「緊急対策パッケージ」を取りまとめると表明した。あわせて赤澤大臣には、中小企業や小規模事業者向けの支援策の拡充などを指示している。会見では記者から、企業の99%以上を占める中小企業のサイバー対策について、重要性の認識と支援の課題を問われた。
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赤澤大臣は、サイバー攻撃の被害はサプライチェーン上の取引先に影響を及ぼす可能性もあるとして、企業の規模に関係なく対策は極めて重要だと強調した。一方で、中小企業には対策に充てる人的・資金的なリソースに限りがあるという課題もある。大臣はこの課題に応える支援策を紹介した。
一つ目は「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の普及だ。異常の監視や初動対応の支援といった対策を、安価なワンパッケージにまとめたサービスである。経済産業省は導入経費を「デジタル化・AI導入補助金」の対象とし、中小企業への普及を進めている。赤澤大臣は、サービスの名称にはいまだに疑問が残ると率直に語る場面もあった。
二つ目は相談体制の拡充である。経済産業省は10月27日、各都道府県に設置されている「よろず支援拠点」と、独立行政法人中小企業基盤整備機構の「IT経営サポートセンター」に、無料の「サイバーセキュリティ特別相談窓口」を設置した。これに先立つ10月16日には、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が「不正アクセス特別相談窓口」を開設している。実際に被害を受けている企業や組織、被害の可能性がある事象が起きている企業や組織を対象に、初動対応を支援する窓口だ。赤澤大臣は、こうした施策の普及を通じて、中小企業のサイバー対策をしっかり支援していく考えを示した。
知事会の要望10年超、防災庁始動
防災庁は、2026年7月17日に公布された防災庁設置法(令和8年法律第61号)が11月2日に施行され、内閣に設置された。地方機関である防災局に関する規定は、公布日から2年を超えない範囲で政令で定める日に施行される。防災庁の事務を統括する防災大臣には、関係行政機関の長に勧告する権限が与えられ、勧告を受けた側には尊重する義務が課される。
記者からは、発足初日を迎えた防災庁への受け止めと期待を問われた。赤澤大臣は石破内閣で経済再生担当大臣を務め、防災庁設置準備担当を兼務していた。防災は自らのライフワークだと語る大臣は、担当大臣として全力で取り組んできたと振り返り、防災庁の発足は大変意義深いと述べた。
大臣は所属する自由民主党について、大好きな政党だとしたうえで、おかしなことをすることもあると率直に語った。防災庁については、47都道府県の知事会が過去10年以上にわたり、防災庁や防災省の設置を求める要望を出し続けてきたと紹介している。こうした状況に自身が全力で対応できたことは良かったとし、ほっとしたと本音をのぞかせつつ、「本当にこれから」との思いも示した。
防災庁の意義を詳しく述べることは控えた一方で、細野豪志復興大臣については、福島原発事故の対応で中心的な役割を果たし、危機管理をライフワークとする数少ない政治家の一人だと評した。心から信頼できる同僚だとも語っている。今回から「担当大臣」ではない初代の「防災大臣」が誕生したことも喜ばしいという。
防災庁への期待としては、徹底した事前防災と、復旧・復興までの一貫した災害対応を担う役割を果たすことを挙げた。同日には各省に対する緊急要請が行われると承知しているとし、経済産業省としても内容をしっかり受け止め、必要な取り組みを進める方針だ。
熊本の教訓で中小企業に備え促す
経済産業省が特に力を入れるのが、中小企業の事前防災である。赤澤大臣は、熊本地震で被災した中小企業を視察した際の様子を改めて紹介した。訪れた事業所では棚の固定が一切されておらず、すべての棚が倒れ、重量のあるモーターなどが散乱していた。死者やけが人が出なかったのは、偶然その場所に従業員がいなかったからにすぎないという。
大臣はこの経験から、中小企業の備えは不十分で、改善の余地は極めて大きいと感じたと語った。経済産業省は今後、災害リスクと対策を自己点検できるシートの活用を強く推奨するとともに、「事業継続力強化計画」の審査方法を見直す。事業継続力強化計画は、中小企業が自然災害などによる事業活動への影響を軽減するための取り組みを計画し、経済産業大臣の認定を受ける制度である。中小企業自らが本気で事前防災に取り組むよう促し、防災庁と緊密に連携しながら取り組みを進める。
災害のピンチ、フィジカルAIで救う
赤澤大臣は、ビッグデータとAIの時代において、災害大国である日本には他国より多くの災害に関する貴重なデータが存在すると指摘した。災害の多さという「ピンチ」を「チャンス」に変え、フィジカルAIの社会実装を進めることで、災害対応力を抜本的に強化したい考えだ。
大臣が長年訴えてきたのは、がれきの中から生存者を見つけて助け出すロボットや、福島原発事故の現場で水の中を自由に泳ぎ、デブリを取ってくるようなヘビ型のロボットである。こうした取り組みは、日本国民を災害から守るだけでなく、世界中の人々を救うことにもつながると語った。
廃炉の現場については、東京大学の松尾教授に視察してもらったと明かした。フィジカルAIをできるだけ早く実装してデータを集め、AIを進化させていく。世界で唯一の廃炉の現場があることを「ピンチ」から「チャンス」に変えて実現していくという、松尾教授の力強い意向も確認できたという。赤澤大臣は最近、「福島を我が国のAIトランスフォーメーションの始まりの場所にする」と呼びかけている。
日本の備蓄に世界が注目
別の記者は、赤澤大臣が先週金曜日の10月30日夕方に総理と面会した件を取り上げた。大臣は、今後の中東やアジアにおける外交日程の機会をとらえて進める経済エネルギー分野の取り組みについて考えを伝え、高市総理から大筋で了承を得たと説明した。総理からは的確な助言もいくつか受けたという。
詳細は控えたものの、大臣は一般論として日本の備蓄政策の歩みを振り返った。日本は石油危機の経験に基づいて石油製品の備蓄体制をつくってきた。あまり知られていないが、1983年からは重要物資の備蓄制度も作り上げてきたと紹介している。
高市総理は2026年4月15日、「アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ」、通称「パワー・アジア」を発表した。赤澤大臣は、アジアの国々が日本と同じような備蓄体制を取っていれば、これほど大きな影響を受けることはなかったと指摘した。
大臣は、日本がこれまで取り組んできたことの重要性や正しさが世界的に認識されるようになったとし、いろいろな国との関係を一気に深めていく考えを示した。日本だけが良ければいいという体制ではないとして、アジアのためにも先進国のためにも、日本が中心に立って取り組むと強調している。
原油供給の3割近くが米国
今週行われる米国の中間選挙について、記者からは選挙結果が日本の原油調達などに与える影響を問われた。赤澤大臣は、米国は世界一の軍事大国、経済大国であり、選挙の結果や影響は米国の外にも少なからず及ぶと述べた。
大臣は、日本の原油調達でサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が4割ずつを占めていたところ、いまは米国が3割近くを供給していると説明し、国として本当に感謝していると語った。今後もエネルギーの安定供給に万全を期す考えを示した。
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