サトー、木材の来歴をNFCで伝える協働プロジェクト「Bole」に技術提供

自動認識技術を手がける株式会社サトーは、林業・木材産業・デザインの協働プロジェクト「Bole(ボーレ)」に、NFC(近距離無線通信)タグと活用ノウハウを提供した。サトーは1940年の創業以来、バーコードやRFIDを使ってモノを自動で認識し、情報とひも付ける技術を積み重ねてきた。「あらゆるものを情報化して、社会のうごきを最適化する」を掲げ、ラベルプリンターやRFIDタグといった自動認識ソリューションを企画から保守まで手がける。今回は、この「モノと情報をひも付けるノウハウ」を、プロダクトデザインやアートの領域に応用した。

Boleは、木製プロダクトに、原材料となった木がどの森林で育ち、どう加工されたかという来歴を結びつける取り組み。スツールに貼った「Bole」シールにスマートフォンをかざすと、木が育った森や作品ができるまでのストーリーが画面に表示される。専用アプリをあらかじめ入れる必要はなく、NFCとスマートフォンだけでコンテンツを閲覧できるのが特徴で、大和コンピューターの情報発信サービス「NFC Link2」と連携して実現した。成果は、デザインとテクノロジーの展示イベント「alter. 2026, Tokyo」(日本橋三井ホール、2026年10月29日〜11月1日)で披露され、樹齢約100年・長さ3.5メートルの杉丸太と、そこから削り出した作品、1本の丸太の木目を生かした8種類のスツールが並んだ。

Boleは、複数の企業とデザイナーが役割を分担して進めている。プロダクトデザインはロンドンを拠点とする建築家ユニットのPAN-PROJECTS、木材の供給は約100年続く奈良県の林業家である森庄銘木産業株式会社、木材流通やデジタル面は木材取引のデジタル化を進めるスタートアップの株式会社森未来が担い、サトーがNFCタグと活用ノウハウを提供する。収益の一部を生産者に還元する仕組みも組み込まれている。

木材は、どの森で育ち、だれの手を経てきたのかという情報が、流通の過程で失われやすい。タグで来歴をたどれるようにすると、伐採から製造・加工までのサプライチェーンを追える製品になり、使い手は素材の背景や作り手の思いを知ったうえでモノを選べる。木材そのものだけでなく生育環境や生産者の営みまで伝えることは、これまで十分に価値を生み出せてこなかった森林資源に新たな評価の手がかりを加える試みでもある。木材の適正な価値への理解を促し、生まれた収益を森林の維持へ還元していくことは、森林資源を持続的に循環させるうえでの課題でもある。サトーは、プロダクトデザインやアートの分野でのRFID・NFCの活用をさらに広げる方針を示している。

【リンク】
♯サトー
https://www.projectdesign.jp/articles/6be9f7ee-1524-4535-97e8-699a89b4c8f8